ついに自衛隊を派遣!旭川市「大規模クラスター」の現場と最北歓楽街の惨状

 医療機関としては国内最大規模となる院内クラスターが発生した北海道旭川市の旭川厚生病院と吉田病院。さらに旭川赤十字病院でもクラスターが確認され、政府は自治体からの要請を受けて自衛隊の派遣を決定した。

 北海道と東京で二拠点生活を送る筆者は、たまたま私用で旭川に滞在。12月8日昼に各病院を訪ねてみたが、この時点で自衛隊はまだ到着しておらず、外から見た限りでは物々しい雰囲気でもない。この時点で厳戒態勢を敷くのは建物内だけのようで、病院前の歩道は地元民が普通に行き来していた。

 このうち国内最多となる247人(※8日時点)の感染者を出した旭川厚生病院は、旭川の中心部から約2.5キロの住宅街にある総合病院。隣にはドラッグストアやスーパーなどが並び、地元客で賑わっている。

 買い物に来ていた30代の主婦は、「家が歩いてすぐの距離で、近隣住民に感染が広がらないか心配」と話す。同様に不安を口にする人は多かったが、「お店はいつも通り営業してるから」と必要以上に警戒している様子もない。

 だが、旭川駅前にあるイオンモール旭川駅前は、正午過ぎのフードコートも人がまばら。ちょうど食事をしていた地元大学生によれば、「クラスターの報道以降、ショッピングモールや買物公園(※旭川駅前から延びる歩行者専用道路)の人が明らかに減ってる」という。

 そんな中、甚大な被害を受けているのは飲食店。街の中心部にある「さんろく街」は、札幌ススキノよりも北にある“真の日本最北の歓楽街”と言われている。例年なら忘年会シーズンのこの時期、冬の寒さを吹き飛ばすような賑わいを見せているが、それがウソのように今年はひっそりと静まり返っていた。

「クラスター前から忘年会はほぼ全滅ながら少人数のグループなどは来てくれていて、札幌に比べればまだマシでした。でも、今は感染者を出してしまった店もあり、数少ない地元客も途絶えてしまった。これじゃあ年も越せませんよ」(さんろく街の居酒屋店主)

 12月に入ってからの人口に占める感染者の増加率は、国内ワースト1位の旭川市。これまで経験したことがないほどの厳しい冬になりそうだ。

(高島昌俊)

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