西武から海外FAを行使した秋山翔吾がシンシナティ・レッズと契約した。レッズに日本人選手が入団するのは秋山が「初」だが、日本とゆかりの深い人物はいる。その1人が“ナショナルリーグのオータニ”と称されるマイケル・ロレンゼンだ。
「ロレンゼンは主にリリーフとして登板してきた右投手です。なのに18年シーズンの6月、1週間で3打数3本塁打を記録し、同30日のブルワーズ戦では満塁の好機に『代打』で登場したのです。結果は、満塁ホームランでした」(在米ライター)
18年といえば、大谷がエンゼルスに移籍した年。米国中で「投打の二刀流」がちょっとしたブームとなり、ロレンゼンの代打起用は“ノリ”だったそうだ。その後、指名打者制のないナショナルリーグにおいて、ロレンゼンは外野手を兼任しながら二刀流を続けており、一部では「彼が野手で出場するときは主にセンター。秋山とスタメンを争うのでは?」とも伝えられている。
また、そのスタメンを決めるデービット・ベル監督にも、日本人選手との“縁”があった。
01年当時、現役だったべル監督はマリナーズに在籍。01年といえば、イチローがメジャーリーグに挑戦した年。ベルは当時、サードを守っており、ライトのイチローからノーバウンドの大遠投を受け走者をタッチアウトにした。この送球が「レーザービーム」と呼ばれ、イチローの凄さを一気に全米に知らしめたのたが、そのあおりでベル監督は日米双方のメディアからレーザービームについて何度も質問された“被害者”でもある。
そういえば、秋山は入団会見で「イチローさんみたいになりたい」と語っていた。これまで接点のなかったイチローの名前が出たことに日本のメディアは驚いていたが、会見前、ベル監督から当時の思い出話を聞かされていたのかもしれない。
「ベル監督は有名な野球一家の出身で、お父さんもメジャー3位球団で指揮官を務めた名将です。祖父はレッズの元4番バッター。秋山が活躍したら、またもやベル監督が日本のメディアに追い掛け回されることになりそう」(同前)
二刀流男に、イチローフィーバーの立役者。ロレンゼンとの定位置争いは気になるが、“レッズ初の日本人”でも秋山はすぐにチームに溶け込めそうだ。
(スポーツライター・飯山満)