二刀流復活でエンゼルスは大谷翔平中心のチームに改造中

 大谷翔平が本格的なブルペン投球を再開させる。そこに、エンゼルスの今オフの補強リストを合わせると、二刀流の近未来像が見えてきた。

「エンゼルスはアストロズからFAとなったゲリット・コールを狙っているようです。代理人は吸血鬼の異名もあるスコット・ボラス氏なので高額年俸での契約は必至ですが、コール以外の大物には見向きもしていません。本来、もう一人くらい獲りに行きたいところでなのですが…」(特派記者)

 コールはワールドシリーズでも活躍した大物投手。戦力となるのは間違いないが、エンゼルスは投手のコマ不足に苦しんできた。それでも「1人」しか獲得に動いていないのは、「投手・大谷」の復活がすでに計算に入っているからだろう。

「コール、大谷、そして、今季のチームを支えたアンドリュー・ヒーニーの3人が揃えば、優勝争いに食い込んでいけるとみているようですね」(同前)

 ただし、「投手・大谷」の比重が増えれば、必然的に「打者・大谷」の出場機会は減ってしまう。そのマイナスを懸念する向きもある。

 来季からエンゼルスの指揮を執るジョー・マドン氏だが、今季までシカゴ・カブスの監督だった。カブスにはダルビッシュ有がいる。マドン監督はダルビッシュが10戦連続で勝ち星がつかなかった今季前半、「配球の組み換え」「イニング数を短く」などのメディア批評が出ても、その起用法を代えようとしなかった。信念を持った指揮官であり、「大谷を先発させたら、翌日は休ませる。登板前日調整の休養」といった約束も守るはずだ。

 二刀流による変則起用は、前任監督を悩ませてきた。チームが危機的状況にあれば、「臨時出場、DHなら」など強行論は強くなり、また、大谷は“出たがり”でもある。信念のある指揮官なら、大谷に負担をかけて潰すことは絶対にしない。エンゼルスは大谷中心のチームを作っていく。
 
「ただ、コールの獲得に失敗したら、話が違ってくるかもしれません。他に好投手は少ないので」(同前)

 マドン監督はリリーバーをショートイニングで先発させる「オープナー」を進言されても、絶対に聞き入れようとしなかった。それも、カブスを低迷させた一因に挙げられている。コール獲得に失敗すれば、リリーバーが豊富なエンゼルスなら、オープナー採用論も出てくるだろう。こちらは柔軟に対応すべきだ。でなければ、大谷が復活しても、チームの浮上はない。

 エンゼルスは今オフのストーブリーグから大谷中心で動いている。

(スポーツライター・飯山満)

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