プレミア12の決勝で韓国を破り、悲願の初優勝を飾った侍ジャパンだが、来年夏の東京五輪に向け大きな課題も見えてきた。
「秋山翔吾の故障は痛かったですが、もっと深刻だったのは、野手陣の不振です。近藤健介、吉田正尚、松田宣浩は打撃不振でした。不振は誰にでもありますが、短期決戦ではそれが致命傷になりかねません」(球界関係者)
東京五輪では代表メンバーの選出人数が異なる。プレミア12、WBCでは28人をエントリーできるが、東京五輪では24人。4人も少なくなれば、投手と野手の人数配分はもちろんのこと、今大会のように打撃不振者が複数人出ると、試合途中での選手交代が難しくなる。好機で「代打要員がいない」なんてことにもなりかねない。
「東京五輪の野球競技の出場チームは日本を含め、6カ国。まさに短期決戦です。調子の良い選手をスタメンで使えば、代打要員はスタメンより調子が悪い選手ばかりとなり、人数が少なくなる分、守備位置の問題も出てきます」(同前)
今大会で稲葉監督は、捕手3人、内野手7人、外野手5人の計15人をエントリーした。その後、出場辞退者や秋山の故障離脱などで多少の入れ替えもあったが、「投手13人」は絶対に変えなかった。
「投手には球数制限などの規定が加わるからです。東京五輪は試合数が少なくなるとはいえ、12、13人の投手選出は必要でしょう。そうなると、野手にしわ寄せが行きます」(ベテラン記者)
テイクバックの小さな変則投法や、捕手の返球を受けてすぐにモーションに入る間の取り方、外国人投手特有のムービングボールなど、国際試合には打撃不振を招く要素がたくさんある。メンバーが少なくなれば、不振選手が増えると今回以上に痛い。
「そこで、侍ジャパンのスタッフ間で注目されているのが、鈴木大地と福田周平です。両選手ともFA宣言していますが、複数のポジションが守れて、難しい二遊間の内野ができ、外野守備も巧い。ユーティリティー・タイプが重宝されそう」(前出・関係者)
稲葉監督も24人に削減される五輪のメンバー構成の難しさを口にしているそうだ。鈴木、福田を獲得したい球団もそうだが、侍ジャパンとしても2人にツバをつけておきたいところだろう。
(スポーツライター・飯山満)