「すき家」もついに牛丼並盛が“400円”に…30年前の値段に戻った深刻度

 昨年末、牛丼チェーン大手の「すき家」が牛丼の値上げに踏み切り、これで牛丼大手3社がこぞって牛丼価格を値上げしたことになる。これは世界的な牛肉価格の高騰、いわゆる「ミートショック」による一時的なものという見方もあるが、牛丼の価格上昇を深刻に捉える意見もある。
 
「『すき家』は牛丼の並盛を350円から400円に、特盛を630円から700円に引き上げました。同チェーンが並盛を値上げするのは2015年4月以来となる実に6年半ぶりのことです。値上げの原因は、コロナ禍からの経済が回復したことによる中国を中心とした世界的な牛肉需要の急増に加え、原油高による輸送コストの上昇が影響しています。なお、昨年10月には『松屋』が牛めしの並を380円に、『吉野家』も牛丼並盛を426円に値上げしています」(フードライター)

 牛丼はデフレの象徴と言われているが、今回の値上げは人件費などには上乗せされない“悪い値上げ”とも言われ、ネット上でも《牛丼一杯400円って、30年くらい前の価格に戻った感じか。ただ、当時はこの値段でも牛丼は安いと感じられたが、今は…》《牛丼が値上がって、給料も増えたのなら問題ないが、モノの値段だけが上がっていくから絶望的なんだよ》《この値上げは原材料が上がったことへの補填だから企業の利益の増加にもならず、社員の給料の足しにもならないというね…》など危惧する声が相次いでいる。
 
「牛丼チェーンの老舗である吉野家では1991年に400円に値上げしていますから、まさに30年前の価格に戻った形になります。91年といえばバブル崩壊の直前であり、その後はバブル崩壊ととともに長期に渡るデフレに突入、牛丼価格は200円台にまで低下していき、デフレの象徴となりました。今の世界標準であれば牛丼価格は1000円でもおかしくないとされているだけに、ミートショックが落ち着いて牛丼が値下げされる際、再び低価格競争が起きなければいいですが…」(経済ジャーナリスト)

 22年は値上げラッシュが家計を直撃しているが、本当に怖いのは牛丼が値下げされた時なのかもしれない。

(小林洋三)

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