米大統領選の前哨戦!? FacebookとTwitterが政治広告を巡り代理戦争へ

 先日、地球温暖化に歯止めをかけるために温室効果ガス排出の抑制を取り決めるパリ協定からの正式脱退を通告したトランプ政権。

「パリ協定が採択されたのは2016年11月4日。かねてから脱退を打ち出していたトランプ大統領でしたが、協定では3年後の19年11月4日を待たないと正式脱退の通告は行えませんでした。そして3年後の即日通告です。なぜなら、正式離脱はさらに1年後の20年11月4日になるわけですが、これは11月3日に行われるアメリカ大統領選挙の翌日に当たり、アメリカ・ファーストを訴えるトランプ氏としては選挙の大きな争点として利用できるからです」(全国紙記者)

 というように、現在のアメリカ国内は1年後に行われる大統領選挙を中心に政治・社会は回っていて、その影響はトランプ氏お得意のSNSとメディア環境・企業にも及んでいる。

「インターネットの政治広告を巡ってTwitterとFacebookが対立しているんですが、見方によれば大統領選挙の前哨戦と見えなくもありません」(ネットに詳しいジャーナリスト)

 どういうことか。

「FacebookのザッカーバーグCEOが10月30日に第3四半期(7〜9月)の決算発表をして、いろいろな批判はありつつも今後も政治広告を掲載する方針であることを語ろうとしたまさにその直前、あたかもそのタイミングを狙っていたかのように、Twitterのジャック・ドーシーCEOがTwitterでは政治広告を一切掲載しないとツイートし、Facebookが第三者のファクト・チェックもないまま政治広告を掲載する方針を当てこすったのです」(同前)

 Facebookではその前に、トランプ氏が出した民主党が不利になるような広告を掲載の是非でモメていた。ところがFacebookは、民主党が求める削除には応じず、政治家が出した広告の事実確認は行わないとしていたのだ。

 そんな経緯があったものだから、今度はトランプ氏の保守派陣営がドーシー氏の決定に当然のごとく反発した。トランプ氏のデジタルキャンペーン責任者などは、「非常に馬鹿げた決定……保守派を黙らせる企てだ」とメディアに語っている。一方でドーシー氏の発言は広い層で受け入れられ、さらにはFacebookの足元ですら、一部の従業員が経営トップ宛てに自社の方針を批判する書簡を送る動きがあったという。

「ザッカーバーグ氏によれば、政治広告の収入は来年で収入のうちの0.5%未満に過ぎないといい、Twitterに至っては直近でFacebookの20分の1以下でしかありません。だから、両者共に“金の問題”ではないと主張しているのでなおさら政治を巡る“代理戦争”の様相を示しているんです。というよりも、Facebook対Twitterの地域紛争に飛び火したと言う方が正しいかもしれません」(同前)

 ところで当のトランプ氏だが、つい先ごろニューヨーク・タイムズが、トランプ氏が大統領に就任して以後に行われた1万1000回のツイートの中身について分析を行った。結果は、6000ツイートが誰かもしくは何かを攻撃するために行ったもの、2000以上が自分の仕事ぶりを誇る自画自賛ツイートだったという。やはり徹底した議論が必要なようだ。

(猫間滋)

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