パソコン固まった!「電源長押しでデータ消失」前に試すべき復旧テク

「突然パソコンが固まって動かなくなった」。そんな事態に陥ったとき、多くの人はつい電源ボタンを長押しして強制終了してしまいがちだ。しかし、実はこの行為はパソコンにとっては非常に危険な選択肢になるかもしれない。保存中のデータが失われたり、アプリの設定が壊れたりするだけでなく、最悪の場合OSが起動しなくなる恐れもある。

 そもそも、なぜ電源ボタンの長押しが危険なのか。通常、Windowsではシャットダウン時に、開いているアプリやバックグラウンドプロセスを順序立てて安全に終了させる。だが長押しによる強制終了はこれをすべて無視し、電源を物理的に断つだけ。保存していない作業内容は当然消えてしまい、アプリやWindows自体のシステムファイルが破損し、次回起動時にエラーが起きる原因になる。さらに、運が悪ければハードディスクやSSDのファイルシステムが破損し、パソコンが起動しなくなるリスクすらある。

 とはいえ、画面が完全に固まり、マウスもキーボードも反応しない「本格的なフリーズ」は実際に起こる。そんなときに試してほしいのが「Shiftキーを5回連打する」方法だ。これはWindowsの固定キー機能を呼び出す動作で、「ピコッ」という音が鳴れば、OSがまだ動いている証拠となる。反応があれば、次に「Windowsキー+Ctrl+Shift+B」の同時に押してみよう。このショートカットはグラフィックドライバーを再起動させる隠し機能で、画面表示だけがフリーズしていた場合に、ウソのように復旧できる場合がある。ゲーム中や編集中などに画面が真っ黒になり、どうしてもデータ損失を避けたいときに知っておくと便利なコマンドだ。

 また、特定のアプリだけがフリーズし、マウスすら動かなくなるケースもある。この場合は「Alt+Tab」で別のアプリに切り替えてみると、マウス操作が復活することがある。その後は「Ctrl+Alt+Delete」でセキュリティ画面を呼び出し、タスクマネージャーを選択。該当のアプリを右クリックし「タスクの終了」を選べば、パソコン全体を再起動せずにフリーズから復帰できる。

 ここで注意したいのが、「再起動」と「シャットダウン」の違いだ。多くの人はトラブル発生後、とりあえず「シャットダウン」を選びがちだが、これはあまり意味がない。Windowsには「高速スタートアップ」という機能があり、シャットダウン時にはメモリの内容やドライバ状態を一部保存したまま終了する。そのため、次回起動時に不調の原因が引き継がれてしまう恐れがある。一方、「再起動」を選べば、ドライバやカーネル情報を含むシステム全体が完全にリセットされ、より確実な復旧が期待できる。つまり、フリーズやエラーが起きた際は「再起動」を選ぶのが正しい対処法だ。

 なお、「Ctrlキーを押しながら電源マークをクリックする」ことで表示される「緊急の再起動」画面を、特別な裏技だと思い込んで使う人もいるようだが、これは正しく理解していないと逆効果になりかねない。操作を誤るとさらなる不調を招く可能性があるので、安易な実行は避けたほうが無難だ。

 トラブル時こそ冷静に。パソコンがフリーズしても、すぐに電源ボタンに手を伸ばさず、正しい手順で原因を切り分けて復旧を試みることが、データを守りトラブルを最小限に抑えるカギとなる。こうした知識があるかないかで、あなたのPCライフの質は大きく変わるだろう。

(ケン高田)

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