セ・リーグ首位の阪神は5月13日のDeNA戦(ハードオフ新潟)を延長12回、1―1で引き分けた。
先発の才木浩人が6回まで3安打無失点と粘ったが、0―0で迎えた7回裏に代打松尾汐恩の犠飛で1失点。1点を追う9回表、二死走者なしから今季初スタメンの高寺望夢がDeNA三番手入江大生の2球目直球を強振し、起死回生の同点ソロ。試合を振り出しに戻し、価値あるドローとなった。
藤川球児監督は高寺について、「やっぱり下積みがあったので。最後でも、ホームラン打ってますけど、飛びついたりしながらでも泥くさくてもやろうと。今日はすごくいい姿。彼にたくさん話を聞いてあげてほしいと思います。素晴らしかったですね」と称賛した。
高寺は上田西高から20年度ドラフトで7位指名され阪神入団。22年6月のソフトバンク戦で1軍初デビューを果たすも、23、24年は1軍出場なし。昨季は124安打でウエスタン最多安打を記録した。
ところで、この日の高寺の活躍で阪神ファンが改めて注目したのは2020年ドラフトだ。
この年のドラフトで阪神が指名したのは1位・佐藤輝明内野手、2位・伊藤将司投手、3位・佐藤蓮投手、4位・栄枝裕貴捕手、5位・村上頌樹投手、6位・中野拓夢内野手、7位・髙寺望夢内野手、8位・石井大智投手、育成1位・岩田将貴投手。
育成の岩田は昨年DeNAに移籍したが、ほかの選手はほぼ全員が阪神の主力を担っており、ファンの間では「神ドラフト」と呼ばれている。この中で唯一の高卒で、出遅れていた感のある高寺が954日ぶりのスタメンで劇的なプロ初本塁打。ファンからは「やっぱ2020ドラフトやばいわ」「阪神2020ドラフトがさらに輝き増したな」「高寺が活躍したからまた2020ドラフトが神になってしまったな」などと神ドラフト再評価の声が寄せられた。
20年ドラフトのラストピースを埋めた高寺。これから新戦力としてどんな活躍を見せてくれるか楽しみだ。
(鈴木十朗)