今年6月に日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長が任期満了のため退任する。
山下氏は、一昨年(23年)に転倒して頚椎を損傷する重傷を負った。以来、会長代行として、三屋裕子副会長(日本バスケットボール協会会長)が職務にあたっている。山下氏とは月2、3度のペースで意見交換をしていることを公表しているが、事実上、JOC会長不在の異常事態と言われている。
後任の有力候補は日本サッカー協会の田嶋幸三名誉会長だ。
「山下氏とは同郷(熊本)で同い年(67歳)です。禅譲といえば聞こえはいいのですが‥」(夕刊紙記者)
田嶋氏は15年に国際サッカー連盟(FIFA)理事だったこともあり、国際オリンピック委員会(IOC)と台頭に渡り合えるパイプがあると言われる。有力国ではFIFAとIOCの理事を兼任しているケースが多いということもあり、適材適所という意見もある。ところが…、
「実は、この田嶋会長誕生に向けては『密室人事』だとする指摘があるのです。会長は本来なら理事による互選で選出されるのですが、JOCは昨年6月に『役員候補者選考委員会』なるものを組織していて、委員会には元フジテレビアナで弁護士の菊間千乃氏や、元シンクロ選手でメダリストの田中ウルヴェ京氏らもいます。ただ、この人選には遠藤利明・元五輪相や、その遠藤氏と関わりが深い元首相・森喜朗氏の存在が見え隠れしており、さらに、この2人が新JOC会長に田嶋氏を強力に推していると言われているんです」(JOC担当記者)
またぞろ出てきた政治家の名前と「密室人事」という文言。五輪を巡っては多くの不正事件が起きたこともあり、JOC会長という重責を担う人物については、あらためて公明正大な人選が望まれるのだが…。
(小田龍司)