立憲分裂で「減税派」が国民民主に合流か!自民を巻き込む政界大再編へ

 小が大を飲み込むー。永田町では夏の参院選を前に驚きの「政界大再編」が囁かれている。野党関係者が解説する。

「立民(立憲民主党)の生みの親、枝野幸男元代表が党内で消費税減税派が増えていることに業を煮やし、4月12日のさいたま市の講演で『(消費税減税という) 減税ポピュリズムに走りたいなら、別の党をつくるべきだ』と減税論議員らに党を出ていけとばかりに三行半を突き付け、大きな波紋を広げているのです」

 政治アナリストが背景を解説する。

「09年に政権をとった旧民主党下で3人目の首相になったのが今の立民代表の野田さん。その野田さんは首相時代、自公と合意のうえ現在の消費税率10%への道筋をつけた。元財務相で筋金入りの財政規律派だ。枝野さんも過去減税論で失敗したため減税には慎重な立場。しかし、今の立民内では国民を引き付ける有効な政策が打ち出せないことに焦りがある。そのため国民が期待する消費税を下げる政策を打ち出し、消費税減税に慎重な石破政権と対峙して参院選に臨むべきだという声が日増しに強くなっているのです」

 減税論を掲げる立民内勢力としては江田憲司氏が率いる「食料品の消費税ゼロ%を実現する会」、その数約70人。立民衆議院議員の末松義規氏、福田昭夫氏もやはり消費税減税の勉強会を立ち上げ、この会にも約30人が所属する。また党の重鎮で昨年の代表選で野田氏を担いだ小沢一郎氏も減税に傾く。

 先のアナリストが言う。

「小沢氏は15日、枝野氏の“別の党”発言に国会内で記者団に傲慢と指摘したうえで『世間は減税論の傾向にある。各党が減税を言う中で『立憲だけが減税しないと言うことで、この党の存立が図れるのか』と述べ野田氏、枝野氏らに異を唱えた。小沢氏のグループ『一清会』は約25人。つまり立民内の衆参議員186名のうち、消費税減税賛成議員は半数を超える。それでも野田-枝野ラインが頑なに減税を封じれば、枝野氏の言葉を待たずに党が割れる可能性も出てきた」

 その場合、新党となるのか、それともどこかの党に合流するのか。立憲民主の議員秘書はこう明かす。

「もともと旧民進党で一緒だった国民民主党はトランプ関税やコメ高騰を受け、一時的な消費税5%減税論を訴えている。そのうえ、国民民主は『対決より解決、手取りを増やす』などの具体案で所得税の課税最低限を103万円から178万円に引き上げると提案、存在感を高めてきた。昨年の衆議院選挙では、その方針が有権者に刺さり、一気に議員数を4倍に伸ばしてその勢いは衰えてない。もし、野田-枝野ラインが今後も頑ななら、立民減税派の多くは国民民主との合流を模索するかもしれない」

 確かに最新世論調査(NHK・4月)でも立憲支持率が5.8%に対し国民は7.9%と野党の先頭に立っている。つまり、衆参合わせても40人の小政党に180人からの野党第一党が揺さぶられているのだ。政治アナリストが付け加える。

「まぁ、立民の議員も過去の経緯もあるので簡単に国民合流とはいかないだろう。だが参院選で国民が大きく伸びて立民や自民がボロ負けしたら、新党結成か国民民主に合流というのも現実味を帯びる。あるいは政界大再編が起きる可能性も否定できません」

 一方、少数与党の自民党も、物価やトランプ関税の動向によって先が読めない状況だ。「小が大を飲み込む」再編となるか。

(田村建光)

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