「新聞なんて業界向けの軽減税率だ」泉健太氏の主張に冷ややかな反応

 自民党の総裁選ほどではないが、それなりに多くの注目を集めている立憲民主党の代表選挙。9月7日の告示に合わせ、さっそく泉健太現代表、枝野幸男前代表、野田佳彦元代表、吉田晴美衆院議員の4候補の討論会が日本記者クラブで行われた。

「様々な論点について議論が戦われましたが、一般庶民の暮らしに直結する消費税の減税では、泉、吉田候補が減税積極派で、枝野、野田候補は、立憲民主の従来通りの『戻し税(給付付き税額控除)』を主張して、報道では『意見がまっぷたつ』とされました」(全国紙記者)

 そんな中、9日にもニコニコ生放送でやはり討論会が行われて、同じ議論が行われたのだがその際、泉候補が新聞への軽減税率に対して「新聞なんて業界向けの軽減税率だ。食料品じゃないんだから、10%にすればいい」と撤廃を主張。これについて、前出・全国紙記者は、「お家事情に関わることですが」と前置きしつつ、こう語る。

「新聞を軽減税率の対象に加えることは15年に決定されたことですが、8%から10%への消費増税の議論が始まった13年に日本新聞協会は『軽減税率を求める声明』というものを出して、労使一体となってロビー活動を展開して、政治に圧力をかけていました。それが適って軽減税率8%を勝ち取ったのですが、その主張の根拠は、新聞の情報は食料品と同様に重要だ、というものでした。ところがその『新聞』というのも、週2回以上発行されて、定期購読契約されるものとされています。つまり新聞配達される新聞だけで、例えばキオスクでの夕刊紙購入などは含まれていません。欧米では知的情報を守る観点から、雑誌や書籍も軽減税率の対象となっているケースが多いですが、日本では新聞配達されたものしか対象になっていないので、違和感を持って受け入れられた経緯があります」

 そしてこの泉氏の発言、新聞報道ではサラっと事実だけを伝えている。その冷ややかな反応が逆に不気味さを醸し出している。

「泉氏のちゃぶ台返しとも言える主張に、新聞各社の幹部はそうとうお怒りだと思います。ですから今後の立憲民主の代表選では、それとはなかなか気付かれない形で泉氏に厳しい論調が加えられるでしょう」(同)

 今後のバッシング報道を見る上では、留意しておきたいところだ。

(猫間滋)

ライフ