2月に発売された「50歳から8か国語を身につけた翻訳家の独学法」(青春出版社)が中高年世代から熱い注目を集め、Amazonで「ベストセラー」に認定された。著者の宮崎伸治氏が提案する驚きの勉強法とは? 脳が活性化する理由とは? 「ボケないための新脳活」を今日から実践してほしい。
「50歳を目前に控えたある日、英語の書籍を読んでいる時に、ふと閃いたんです。外国語で書籍を読めるようになれば、過去に遠い異国に住んでいた偉人とも対話ができるんだと。それから、まったくゼロからスタートして、フランス、イタリア、韓国、中国、ロシア、タイの言葉を独学で学習しようと決め、12年間、一日も休むことなく学習を続けているんですよ」
こう話すのは、50歳から独学で8カ国語を身につけた、作家で翻訳家の宮崎伸治氏(62)。50歳から12年もの間、一日も休まず学習を続ける鉄壁の精神力は、いったい、どのように身につけたのだろうか?
「学習する動機は、大きく2つのカテゴリーに分類できます。ひとつは、『まわりに賢いと思われたい』とか『昇進に役立つから』という外発的動機です。これも大切な学習意欲を沸き立たせる糧にはなりますが、ひとつ壁にぶつかると、『いったい、何のためにこんな大変なことをやっているんだろう?』と、投げ出す可能性が高くなります。だから、最も理想的なのは、学ぶこと自体に価値があると認め、みずから進んでやりたくなる状態である内発的動機を生じさせることです。おもしろいことを経験したり、有能感を得たり、探究心を満たしたり、複数の内発的動機を持つことで、学習動機をより強固なものにできるんです」
学習意欲を燃やしながら、外国語学習に励んだ宮崎氏は、同時にいくつもの言語を学ぶメリットにも気づいたと話す。
「読者の中には、英語だけでも手いっぱいなのに、他の外国語まで学べるはずがないとあきらめる方もいるかもしれません。でも英語をマスターした後でしたら、英語の兄弟とも言えるドイツ語は5分の1、英語のいとことも言えるフランス語やスペイン語、イタリア語は3分の1の労力で済みます。ひとつの外国語を学習することで、似通った言語は効率よくマスターできるんです」
今からでも遅くはない、多言語マスターへ最初の一歩を、踏み出そうではないか。
(つづく)
※写真は宮崎伸治氏