大阪・関西万博の開催まで1カ月を切ろうとしている。なかなかチケットが売れない理由は目玉不足だけではないようだ。熱中症や落雷、感染症、そして地下鉄での大惨事‥‥。さまざまな重大事故のリスクが問題視されているのだ。「行ったらアカン!」と叫びたくなるようなお粗末すぎる現実とは?
2820万人─。これは日本国際博覧会来場者輸送対策協議会が想定する、大阪・関西万博の総来場者数だ。
こうした大規模なイベントであれば、会場の混雑を緩和させ、防犯対策の要となるプロの警備員を配置すべきだが、実際は経験の浅い素人同然の者が続々と採用されているという。万博事情に詳しい人材採用コンサルタントのS氏が、その問題を指摘する。
「約半年間という期間限定の仕事なので、思うように人材を確保できていないのが現実のようです。万博から警備を委託された会社は、とにかく人を集めるために、本来なら不採用となるような高齢者や、体力仕事に不向きな人たちも次々と採用しているので、万が一の時に本当に安全を守れるかどうかは疑問です。一方、警備スタッフが万博に一極集中することで、大阪府の治安崩壊も懸念されています」
警備員の大流出で大阪が泥棒天国に!? 問題はセキュリティ面だけではない。会場にアクセスする主要な移動手段のひとつであるシャトルバスでも、同様の事態が発生しているという。S氏が続ける。
「大阪シティバスが、会場近郊の主要駅からシャトルバスを走らせるのですが、こちらも人手不足が深刻で、適性に関係なく採用していると聞いています。通常のバスと比べ、事故を起こす確率が格段に高いと思うので、私は絶対に乗りたくないですね」
こうした事態を受け、もうひとつの移動手段である地下鉄・大阪メトロは1時間あたりの最大運行本数を16本から24本に大増便する方針だ。
「大阪メトロでは運転士が絶対的に足りない。車掌を運転業務に配置転換させてきましたが、そんなシロウト運転士が過密ダイヤでパニックを起こさなければいいのですが‥‥」(社会部記者)
万博やIRをテーマに取材を行うジャーナリストの木下功氏も危惧する。
「もともと大阪メトロでは、混雑時の乗車率が140%を超えることから、それを緩和させる対策が求められてきました。ところが、シティバスがそれほど機能しないとわかったことで、さらにピーク時に1日あたり約9000人も乗客が増えるという試算が出されています。駅にはホーム柵こそ設置されていますが、ホーム自体が狭いので、混雑時は危険極まりない。小学生たちも招待するようですが、あんな環境の中に子供たちがやってくると整列させるのも困難であるため、引率する教師の方々も相当注意が必要になると思います」
大阪府が万博に無料招待した府内の児童、生徒は約88万人。そのうち来場希望者は58万人で、実に30万人が「NO」を突きつけたのも無理からぬことだ。
(つづく)