2月4日、トランプ大統領が中国に対し、関税を追加で10%課すことを発表すると、中国もアメリカに最大で15%の追加関税と、グーグルなどの企業に対し、独占禁止法違反の調査に乗り出すことを宣言。ついに米中貿易戦争が始まったとも言われた。
もっとも、米国内では、かねてよりくすぶっていた「文化戦争」(カルチャー・ウォーズ)と呼ばれる「内戦」もヒートアップしているようだ。
アメリカ国内の「文化戦争」は、1991年から始まったとされる。この言葉は、同年に社会学者のジェームズ・デイビット・ハンター氏が上梓した「文化戦争 アメリカを定義するための戦い」という著書で有名となった概念で、同書では、共和党保守と民主党リベラルの相克がアメリカの価値観を決定していて、「それはまさに2国間の戦争のようだ」と表現した。そして、妊娠中絶、銃規制、地球温暖化、ジェンダー、移民、政教分離などについて、米国民の価値観と生活が二分されたとした。
「2月5日にはトランプ氏が『教育省解体のための大統領令』の検討を始めたと伝えられました。目的は州に学校運営を任せて、連邦政府の関与と負担をなくすというもの。とはいえ、これは、政権が進める『反DEI(多様性、公平性、包摂性)』政策の延長線上に位置するもの、とも言われているのです」(全国紙記者)
トランプ氏は前政権時から同省の廃止を訴えていたが、議会の承認を得られなかったという経緯がある。今回も、同省が「連邦政府肥大の象徴」として解約を公約に掲げているが、そこには、
「トランプ政権が、同省を少数派の『権利擁護教育』を推進している左派思想の温床と見ており、同省の問題を文化戦争と結びつけているという指摘もあるのです」(前出・記者)
中国との貿易戦争もしかり、文化戦争という内戦もまた、トランプ氏にとっては勝利しか考えられない戦いなのかもしれない。
(猫間滋)