2024年6月に締結した包括的戦略パートナーシップに基づき、ロシアに大規模な派兵を行なった北朝鮮。ウクライナ戦争に傭兵や義勇兵ではない両国以外の正規兵が参戦するのは初めてのことであり、それ以上に北朝鮮軍が国外で戦闘行為を行うのは朝鮮戦争以来71年ぶりのことだ。
北朝鮮という国自体がベールに覆われていたこともあって、実力は未知数。そのため、これまでネット上では「最強説」と「最弱説」の双方が錯綜していたが、昨年12月23日にウクライナのゼレンスキー大統領は、同国西部に隣接するロシアのクルスク州で死傷した北朝鮮兵が3000人に達するとの見方を示している。
ロシアに派遣された北朝鮮軍は推定1万2000人とされ、ウクライナ側の見解が正確であれば死傷率は25%。軍隊の場合、3割が戦闘不能となった時点で戦闘効力が喪失すると言われている。今回は数が多いので継戦可能かもしれないが、数字の上では深刻な被害を受けたことになる。
「前線に投入されたことを考慮しても被害は甚大です。装備はロシア側が提供したと報じられていますが、自前の武器でない時点で不慣れなのは否めません。少なくとも今回派兵された北朝鮮軍に関しては弱兵と言わざるを得ない」(軍事ジャーナリスト)
また、米紙ニューヨークタイムズは12月23日、「ロシアに派兵された北朝鮮兵の多くは栄養失調だった」と報じている。実際、ロシアが公開している派遣された北朝鮮兵の画像などを見ると、痩せ細った者ばかりで屈強とのイメージには程遠い。
「同じ朝鮮民族の韓国軍の兵士と比べれば、体格面で劣るのは明らかです。戦場で彼らと遭遇したウクライナ兵の証言が西側諸国のメディアでも報じられていますが、『数は多いが練度の低さを感じる』など評価は決して高くありません」(同)
今回の派兵について金正恩総書記は表立ってコメントはしていないが、専門家の間では追加派兵の可能性も指摘されている。その場合、次は精鋭部隊を投入して名誉を挽回するのだろうか。面子を人一倍重視する北朝鮮がこのままやられっぱなしとは思えないが…。