佐藤優「ニッポン有事!」「西側がウクライナ占領へ」露SVR発激震情報の高確度

〈SVRが入手した情報によると、戦場においてロシアが戦略的敗北する見込みが明らかにないことから、NATOはウクライナ紛争を「凍結」する方向にますます傾いている。西側諸国は、このようなシナリオを実行することがウクライナ国防軍の戦闘能力を回復させ、キエフに復讐の準備を徹底的に行わせる好機と考えている。NATOはすでにウクライナに訓練センターを設置しており、そこに100万人以上のウクライナ人を動員する計画だ。〉(11月29日・SVR公式ウエブサイト、ロシア語から筆者訳)

 日本のマスメディアは、この情報をロシアのプロパガンダと見なして無視しているようだが(あるいは情報の存在に気付いていないのかもしれない)、筆者は信憑性の高い内容と考えている。米国でトランプ氏が大統領に就任した後、ロシア・ウクライナ戦争が停戦になる可能性があるとSVRは見ている。この機会を利用して、西側連合がウクライナ軍の戦闘能力を強化しようとする秘密計画があることをSVRが摑んだようだ。

 西側連合はウクライナの軍産複合体の能力を回復することも計画している。

〈停戦中の同盟の活動のもう一つの重要な分野は、ウクライナの軍産複合体の復興である。ドイツのラインメタル(Rheinmetall)をはじめとする西側の軍産複合体に対して、投資だけでなく、一流の専門家や高性能の装備をウクライナに派遣することが求められ、積極的な取り組みが進められている。NATO本部は、ウクライナ国防軍に十分な武器・弾薬を提供しなければ、ウクライナ軍が長期にわたって高強度の戦闘活動を行えるという期待は非現実的であると認識している。〉(同前)

 この先の情報が特に興味深い。

〈こうした任務を遂行するために西側諸国はウクライナを実際に占領する必要がある。当然ながら、これは「平和維持部隊」をウクライナに派遣するという名目で行われる。占領軍に分配される領土は決まっている:黒海沿岸─ルーマニア/ウクライナ西部─ポーランド/ウクライナの中央部と東部─ドイツ/首都(キエフ)を含む北部地域─イギリス。/合計10万人のいわゆる平和維持軍がウクライナに投入される予定である。/(SVRが)入手した情報によれば、ドイツ軍はすでに、大祖国戦争中(第二次世界大戦に対するロシアの呼称)にウクライナに占領政権を築いたナチス侵略者の経験に目を向けているという。同時にドイツ連邦軍は、ウクライナのナショナリストで構成される特殊部隊なしでは警察機能を遂行することは不可能だという結論に達した。彼らは新しい名前を与えられるだろうが、本質的にはバンデラ(第二次世界大戦中、一時期、ナチスと協力したウクライナの民族主義者)親衛隊である。〉(同上)

 ウクライナ国家が解体されてしまうのは時間の問題かもしれない。

佐藤優(さとう・まさる)著書に『外務省ハレンチ物語』『私の「情報分析術」超入門』『第3次世界大戦の罠』(山内昌之氏共著)他多数。『ウクライナ「情報」戦争 ロシア発のシグナルはなぜ見落とされるのか』が絶賛発売中。

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