一国の宰相になるということは、日々想像を絶するプレッシャーがあるのだろう。なにしろ、常に一挙手一投足が国民に注視されるのだから。時にはプライベートな「食事」まで指摘されてしまうのである。
立憲民主党の徳永エリ参院議員が、石破茂首相の「食事の仕方」に注文をつけたのは12月6日午前の参院予算委員会だった。彼女は石破氏にこう語りかけたのだ。
「総理、SNSでおにぎりの召し上がり方が話題になっていること、ご存じですよね。今年の新米は特においしいですから。おにぎりは一口で食べず、味わって召し上がってほしいものです」
永田町ベテラン秘書が、この質問の背景を解説する。
「数年前の石破氏の『おにぎりを食べるシーン』がX上に投稿されたんです。おそらく選挙の街頭演説の合間に急いで食事をしていた時とみられます。ただ、石破氏は、おにぎり一個を一口でパクリとほおばったので、口が閉じられず、口の中のおにぎりが見えたまま食べ続けた姿が動画で拡散したのです。それに対し、《食べ方が汚い》という批判コメントが殺到した。それを受けての徳永氏の発言だったようです」
首相は、この徳永氏の問いかけにニコっと笑顔を浮かべ、「お米が高く、おかわり自由のお店も減っている。政府は、《おコメ高いな、暮らし苦しいな》という人を支援していきたいと思います」と、大人の対応を見せた。
「石破氏は服装やマナーに無頓着な面があるのか、これまで11月中旬に南米ペルーの首都リマで行われたAPEC首脳会議に参加した際、会場でスマートフォンを操作したり、座ったまま外国首脳と握手したりする外交マナーが問題視された。また、10月の内閣発足時の、だらしない服装での、ひな壇写真にも批判が集まっていた」(自民党関係者)
これまでそうしたことに全く関心を示さなかった石破氏にしてみれば、急にそこを突かれるのは国会答弁よりはるかに難しいことだったようだ。
「それでもメガネを変えたり髪の毛を染めたり、ニコニコと笑顔作ったり、努力しているようです」(政治部記者)
しかし、と石破シンパ議員は言う。
「石破さんは、徳永氏には笑顔を見せていたが、内心では『俺は幼稚園児か』と腹を立てていたかもしれません。それでも笑顔で答えたのは成長の証。一国の首相はマナーや言葉遣いなど、すべてがチェックされる存在。しかし、石破さんがすべき最も重要なことは、経済を回し、国民の間で生活が良くなっているという実感が増すこと。そうなれば、支持率はおのずと上がり、政権の長期化も見えてくる。マナーとなど少しずつ身に着けていけばいい」
来年の参院選前までにこの石破シンパ議員が語る流れができるか、石破氏の手腕が試される。
(田村建光)