生活習慣の乱れは「万病の元」となるが、大腸がんも例外ではない。
「糖尿病や肥満体の人はなりやすい。普段から野菜を食べずに、肉中心の食事ばかり摂っているとリスクは上がります。そして、胃がんの既往症や潰瘍性大腸炎にかかっている人も大腸がんになる傾向が高い。もっとも、遺伝的な要因も大きいのは事実。家族に大腸がんや胃がんにかかった人がいるなら用心にこしたことはありません」
とはいえ、健康を気遣う行為が逆効果となることもあるから要注意だ。
「栄養バランスを無視したプロテインの摂取はよろしくありません。たんぱく質を摂ること自体は悪いことではありませんが、動物性たんぱく質を過剰に摂取してしまうと便秘を引き起こしかねません。ガスを発生させてしまい、腸内環境を悪化させてしまうのです。食品添加物も腸全体に負担をかけてしまう。食物繊維やビタミン類をサプリメントでカバーばかりしているのはNGです」
ここまで読んで一抹の不安を抱いたならば、医療機関で大腸カメラを受診するべきである。
「便に血が混じっているかを調べる『便潜血検査』の対象年齢が40歳以上とされているのも、大腸がんのリスクが上昇しているからです。この年代以上の方は1年に1回の大腸カメラがベストでしょう。何ともなければ2~3年に1回のペースで大丈夫だと思いますが、もし大量にポリープが見つかった場合は1年ごとに受診することが推奨されています」
日本とは対照的に、大腸がんの罹患者数が減少傾向なのが米国だ。2国の差は大腸カメラの受診率の違いだという。
「米国が約70%なのに対し、日本は50%に満たないと言われています。人によっては炎症を繰り返して腸管が固くなったり、細くなったりして大腸カメラで痛みが伴うケースもあります。それだけに、日本では大腸カメラに抵抗感のある人も珍しくありません。開業医のクリニックでは鎮静剤を用いる方法を選べるところもあります。大事になる前に、自分に合うクリニックを探しましょう」
そこでポリープが見つかれば切除する。「悪性」でなく「良性」だとしても放置はできない。
「悪性が大腸がんですが、良性でも種類によって、時間の経過で1~2センチに肥大化すると、がん細胞が混ざってしまう危険性があります。小さいイボのようなものなので、簡単にポロッと取れるものでもない。大腸カメラで見つけるしか方法がありません。検査前にみずからの排便習慣に変化があるか振り返ってみてください。同じような症状でも、20歳と70歳では意味合いが大きく変わってきます」
お金をかける前に無料でできるセルフチェックも活用すべし!
【「大腸がん」チェックシート(14)】
セルフチェックで6点以上は近くの医療機関へGO!
(1)野菜を食べる習慣がない 1点
(2)肉類やスナック菓子を好む 1点
(3)喫煙習慣がある 1点
(4)アルコールを常飲している 1点
(5)年齢が40歳以上だ 1点
(6)大腸カメラを受けたことがない 1点
(7)家族にがんにかかった人がいる(いた)2点
(8)肛門付近が痒い 2点
(9)過去にがんになったことがある 3点
(10)残便感がある(過敏性腸症候群だ)3点
(11)ふらつくなどの貧血症状がある 3点
(12)最近、便が細長い気がする 4点
(13)血便が出た 6点
(14)腹痛を伴う便秘症状に悩まされている 6点