103万円の壁に「学生は勉学に精を出して」、TBS報道番組に苦学生が猛反発

 忘年会シーズンを前に、都内の飲食店では人手不足を嘆く声が多く聞かれる。その要因となっているのが「103万円の壁」だ。特に学生アルバイトは、年収が103万円を超えると、所得税・住民税が課税されるばかりか、親の扶養から外れるため、親が扶養控除を受けられず、結果的に親の手取り収入が下がることになる。

 11月11日放送のTBS系報道番組「news23」では、103万円の壁の撤廃を望むアルバイト学生の声を取り上げたものの、コメンテーターの心無い発言で猛反発を食らっている。

 VTR出演した大学4年生の女性は、アプリを使って自身の年収をチェックしているようで、「今月は稼げてもあと6万円しか稼げない。毎月12(万円)くらいは稼ぎたい」と話し、11月を過ぎると、親から「103万円の壁」を超えないか、逐一チェックが入るという。

 これを受けて、スタジオではTBSスペシャルコメンテーターの星浩氏が「年収の壁」撤廃について、「高額所得者のほうが減税額が多くなる」「年収103万円以下の方に恩恵がない」と問題点を指摘。年収130万円を超えると社会保険料がかかることから、「103万円を130万円くらいまで引き上げて、とりあえず全体としてパッケージで議論しようという話は出てきていますね」と述べた。国民民主党の玉木雄一郎代表が「178万円まで引き上げる」と主張しているが、星氏はこう続けた。

「学生ですと、月9万ちょっとぐらいが10万ちょっとになるんですよね。しかし、私も大学で週に1回くらい教えているんですけど、学生が月に10万円もバイトをする必要があるのかどうかっていう。もうちょっと勉学に精を出してほしい気もしますし…」

 その後、星氏は先の衆院選挙で各政党が掲げた「教育の無償化」の必要性についても語っていたが、この「学生が稼ぐ必要があるのか」「勉学に精を出して」という部分が切り取られて拡散。特に苦学生と思われるアカウントからは《仕送りは削られてこの物価高でバイトしないと食っていけないよ》《そりゃあ勉強に時間を割きたいけど働かなきゃいかんのよ》《働かなきゃ東京で暮らせない地方出身者の苦悩を理解してんのか》などと反論の声が寄せられていた。

「星氏は大学授業料の値下げや奨学金など、直接支援できる政策を紹介していましたが、実際に実現できるのは数年先の話でしょう。とくに返済義務のある奨学金で大学に通っている現役の学生にとって、103万円の壁は死活問題。学生は勉強すべしという論調は、暴論と受け止められても仕方ないかもしれません」(メディア誌ライター)

 働きたくても働けない。そんな学生たちの悩みは国会に届くのだろうか。

(福島シゲル)

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