SNSや電話を使った詐欺が急増する昨今。種類としては「オレオレ詐欺」「架空料金請求詐欺」「投資詐欺」「ロマンス詐欺」などがあるが、このところ増えているのが高齢者を狙った「金塊詐欺」だ。
8月20日には、京都市の69歳の男性が金の延べ棒1億円相当を、7月には名古屋市の70代女性が金塊1770万円相当をだまし取られた。京都の場合、6月下旬、男性に携帯電話会社を名乗る男から「あと2時間で電話がかけられなくなる」との電話が。その後、指示された番号に電話すると、警察官を名乗る男にLINEに誘導されて逮捕状を示されるなどした上で「あなたに金融詐欺の逮捕状が出ている。身の潔白を示すためにあなたの資産をすべて提出してほしい」と求められた。
さらに検察官を名乗る男からも「資産をすぐに金に換えてください」と言われ、男性は指示に従って保有する金融資産を現金化し、金塊7・4キロ(時価約1億円)を購入。そして検察官を名乗る男から「これから捜査員が家に金を取りに行くが、捜査員の顔を見てはいけないので、その時間は別の部屋にいてほしい」との指示があり、男性が自宅玄関前に金塊を入れたバッグを置き、別室で待機していたところ、何者かが持ち去ったという。
同様の詐欺は6月以降、東京、大阪、静岡でも未遂を含め確認されており、現金やキャッシュカードではなく金塊をだまし取られる詐欺の手口は珍しく、警察が注意を呼びかけている。
それにしても、なぜ金塊なのか。
「一般的な振り込め詐欺では、被害者が銀行窓口で高額を引き出す際、行員が声を掛け、未然に詐欺を防ぐケースもある。しかし金塊の場合、被害者が正規の店舗で購入するので、銀行に行く必要はなく、店舗では資産として購入すると思われ、怪しまれることもない。また、同じ価格でも金塊に比べて現金はかさばる。金塊のほうが犯人が持ち運びやすいという面もあるでしょう」(夕刊紙記者)
あの手この手で新手の詐欺が次々と出てくるものだ。
(鈴木十朗)