帰省した田舎道で衝突事故を起こすのはなぜか…「コリジョンコース現象」の罠

 いよいよ夏休みシーズンだ。お盆には車で実家に帰省するという人も多いだろう。普段混雑した都心部を走っていると、見通しのいい田舎道は快適といえるが、実は気をつけなければならない落とし穴があることをご存知だろうか。

 地方によくある田畑の広がる見通しのいい交差点で、昼間にもかかわらず車同士の出合い頭の衝突事故が起きることがたびたびある。どちらも相手の存在を把握しているにもかかわらず、なぜ衝突してしまうのか不思議だが、実はこれ、錯覚が引き起こす事故原因のひとつで「コリジョンコース現象」というものだ。

 一体どのような現象なのだろうか。事故調査専門家が語る。

「コリジョンとは衝突や激突を意味する言葉です。例えば、直角に交わる交差点に、1台は東側から1台は南側から同じ速度で接近すれば、お互いの車は常に斜め45度の角度で進み続けるため、ドライバーは相手の車が止まって見える錯覚を起こすのです。また人間は、中心視野でモノの色や形を認識しますが、周辺視野にあるモノは捉えにくいので、衝突の直前まで危険を察知できずにぶつかってしまうのです。相手の車がフロントピラーの死角に入ってしまう場合もあるので、意識的に目線を違う方向に向けて、錯覚を回避するといいでしょう」

 警察庁の統計データによると、1年のうちで交通事故が最も多いのは繁忙期の12月だが、その次に多いのは7~8月だ。これはレジャーシーズンに入り交通量が増加することに加え、気温の上昇により疲労が蓄積し、注意力が散漫になる「漫然運転」に陥りやすくなることが挙げられる。

「自分だけは大丈夫」などと過信せず、常に周囲に気を配って安全運転を心がけたい。

(ケン高田)

ライフ