最恐最悪の車両盗難ツール「GAME BOY」から愛車を守る「最強の方法」はこれだ!

「GAME BOY」を使った車の盗難が激増している。

 GAME BOYといっても、1989年4月に任天堂が発売し、大流行した携帯型ゲーム機のことではない。高級車の窃盗に使われる「キーフォブ」と呼ばれる電子機器の俗称である。

 キーフォブとは、一般的にキーホルダーのことを指し、車と通信して鍵の認証を行うものだが、窃盗に使われるのは手のひらサイズの大きさで、液晶画面や丸ボタン、十字キーなどがあり、件のゲーム機に酷似していることからGAME BOYと呼ばれている。

 方法は、自動車本体と交信することで純正キーと同様のキー情報を車からGAME BOY内に取り込んで作製してしまうというもの。いったん「キー」を作ってしまえば、ドアのロック解除はもちろん、エンジンの始動も行えるというシロモノだ。

 スマートキーシステムを逆手に取った盗難法は、これまでも、キーから発せられる電波を盗む「リレーアタック」や、直接車と接続して情報を乗っ取る「CANインベーダー」などがあった。だが、「リレー~」は車のオーナーがどこにキーを保管しているかによって難易度が変わってしまい、電波を遮断する金属ケースにキーを保管することで防犯できた。また、「CAN~」はバンパーをずらして車と配線を繋げなければならないという「手間」があった。

 だが、GAME BOYは、ドアハンドルなど車側から発する信号を利用するため、これまでの方法と比べて格段に「簡単に、早く」盗難が行えるのだ。同機が「最恐最悪の車両盗難ツール」と呼ばれる所以である。

 では、そんな最悪のGAME BOYから盗難を防ぐ方法はあるのか。セキュリティ問題に詳しい自動車ライターが語る。

「いちばんの対策は、鍵付きシャッターや専用ゲートなどのある駐車場を利用することですが、ランニングコストが跳ね上がるため、あまり現実的ではありません。カーディーラーなどで使われている、別の車で対象車をブロックするという手段も有効です。犯人は2台、3台分のセキュリティを突破しなければならず、それだけ時間的リスクが高まるというわけです。また『パンテーラ』や『ゴルゴ』『オーサーアラーム』といった社外製のカーセキュリティで守る方法も有効ですが、取り付けには工賃を含めて20~30万円以上かかりますね」

 警察庁が6月に発表した2023年の自動車盗難の認知件数は5762件だった。1位はトヨタのアルファードで、2位はランドクルーザー、3位はプリウス。すべてがGAME BOYによる盗難とはいえないものの、盗難件数は、21年、22年と比較して増加傾向にあるのも事実だ。

 愛車の盗難という悪夢を防ぐためには、セキュリティにそれなりのお金をかけることも必要なのかもしれない。

(ケン高田)

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