【北朝鮮】金正恩が回収に躍起になる“実母”記録映像と「汚物風船」韓国投下の関係

 北朝鮮が連日、韓国に向けて飛ばしていた「汚物風船」。この「臭い嫌がらせ」への報復措置として、韓国政府は拡声器による宣伝放送再開を検討し始めたとされ、朝鮮半島で「汚物」対「騒音」の戦いが繰り広げられる可能性が高まってきた。

 北朝鮮による「汚物風船」投下のきっかけとなったのは、韓国の脱北者団体「自由北韓運動連合」による金正恩体制を批判するビラやUSBメモリーの投下だった。

「脱北者団体が5月10日に北朝鮮向けに飛ばした20個の大型風船にくくりつけたのは、ビラ30万枚とK―POPなどの動画を収録したUSBメモリー2000個。この団体は4年前にも同様のやり方でビラを飛ばしたのですが、直後には激怒した正恩氏が韓国との南北共同連絡事務所を爆破を命じ、それが実行されてしまった。ところが韓国側は、太陽政策をとっていた文在寅前政権はこの暴挙に対し抵抗するどころか、逆に法律でビラ散布を禁じた。しかし政権交代後の2023年、憲法裁判所において『表現の自由を過度に制限する』との違憲判決が下り、禁止法の効力が失われたため、再び批判ビラの散布が再開したというわけなんです」(北朝鮮問題に詳しい専門家)

 脱北者団体は6月6日にも同日未明、大型風船10個を使いビラ20万枚やUSBをバラ撒いたことを発表。情報筋によれば、5月と今回のビラやUSBデータの中には、4年前以上の過激な内容がふんだんに盛り込まれているという。

「4年前のビラには、北朝鮮ではタブー中のタブーとされる正恩氏の『出生の秘密』が記され、これに正恩氏が激昂したとされる。というのも、正恩氏の母、故・高容姫氏は日本出身で、父・金正日氏とは正式な夫婦ではなく、いわば不倫関係にあった。そうなると、本来であれば本妻の息子である異母兄の金正男氏が、本物の『白頭の血統』だったことになる。ビラには、その辺りの複雑な生い立ち、さらには正男氏が異母弟の正恩氏によって、マレーシアの空港で殺害されたことなどが記されていたという。これは、北朝鮮で暮らす一般国民が絶対に知ることが出来ない情報で、拡散すれば独裁体制そのものが揺らぎかねない。そこで南北共同連絡事務所を爆破までして、韓国政府に注意喚起を促した。今回はそれ以上の内容で、いわば正恩氏の怒りの『汚物爆弾』だというんです」(同)

 5月31日、米政府系の「ラジオ・フリー・アジア」が、北朝鮮当局により、高容姫氏の姿が収録された映像物が次々に回収されていると報じ、波紋が広がっている。報道によれば、回収されているのは労働党映画文献編集社が2011年に制作した「偉大なる先軍朝鮮の母」という、高容姫氏の生涯を扱った85分の記録映画だとされる。

「映像には高容姫氏が金正恩委員長の生母という説明は明記されませんが、彼女を称賛した後、正恩氏の生母であることを明らかにしています。そんな映像をなぜ今、突然力を入れて回収しているのか。情報筋の間でも、それが今回のビラ投下となんらかの関係があるのではないかとの見方が広がっているようです」(同)

 汚物風船投下と、高容姫氏の姿が入った映像物回収。それが意味するものとは…。

(灯倫太郎)

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