早大入試で不正行為発覚 かつては「替え玉」いまは「SNS」 “報酬”激安化の大問題

 不正入試の手段もデジタル化してきた。2月に行われた早稲田大学の入学試験で、メガネ型の電子機器・スマートグラスを使って試験問題を撮影し外部に流出させたとして、警視庁戸塚署は5月16日、偽計業務妨害の疑いで東京都町田市の無職の男を書類送検。受験当時、男は都内の私立高校3年生だった。

 報道によると、男は2月16日の早大創造理工学部の試験中、カメラ機能を搭載したスマートグラスで化学の問題用紙を撮影。撮影画像を自らのスマートフォンに送信した後、X(旧ツイッター)で複数の人物に入試問題とは知らせずに解答を求め、送られてきた解答をもとに試験問題を解いた。男は入試前、Xで学力が高い人を検索。「わからない問題があったら教えて」「代金を支払っても構わない」などと連絡していた。実際、試験後にスマホの決済アプリで1人当たり数千円を支払っていたという。

 しかし、男から届いた画像が入試問題だと気づいた人物が早大に連絡し、流出が発覚。男は2月21日に同大学商学部を受験した際、試験官が男のメガネにカメラがついていることに気づき、戸塚署に通報した。

 不正入試は許されないことだが、1人あたり数千円の報酬で済ませようとしたのも虫のいい話。また、大学入試の不正では、過去にもスマートフォンなどデジタル機器を利用した事件が発生したが、今回はスマートグラスが悪用された。

「ひと昔前は、不正入試といえば『替え玉受験』が主流で、1991年、おわらいタレントのなべやかんによる明治大学の替え玉受験が発覚した際は大騒動になりました。このとき、父親のなべおさみが替え玉受験をもちかけてきた人物に支払ったという額は18万円。当時、大学の替え玉受験といえば1000万円程度が相場で、それから考えれば格安ですが、今回の件で使われたスマートグラスは数万円で、“報酬”を考えても安いもの。今後もハイテク化とともに不正に手を染める受験者が増えそうです」(週刊誌記者)

 とはいえ、やり方は変わっても不正入試はバレるものだ。

(石田英明)

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