牛丼チェーン「すき家」が4月に業界初となる“深夜料金”を導入し客離れの可能性も指摘されていたが、同月の既存店客数は前年同期比でプラスだったことが分かった。
「すき家では4月3日に牛丼並盛などメニューの約3割の商品を値上げし、さらに22時から翌5時の間に注文した商品には深夜料金として7%が加算されるようになりました。それまでの牛丼並盛の価格は400円で、深夜料金を加えた値上げ後の価格が460円となるため、利用が控えられるのではないかとの憶測もありましたが…。同社が発表した月次売上推移によると、4月は既存店客数が103.9%と前年同月を上回っており、同売上高も109.2%と堅調な数字を示していて、深夜料金導入の影響をまったく感じさせなかったのです」(経済ライター)
まだ開始から1カ月間の数字なので判断できない部分もあるが、深夜料金の導入に利用者から強い拒否感が出なかったことは間違いなく、今後はライバルである「吉野家」や「松屋」なども導入を前向きに検討していくことになるだろう。さらには、牛丼チェーン以外でも深夜営業をする飲食店に波及する可能性もあり、特にファミレスは深夜営業を復活させるところも増えてくるかもしれない。
ファミレスはコロナ禍に最も大きなダメージを負った業態のひとつで、2022年には「ガスト」が100店舗を閉店するなど、現在も業界全体が縮小傾向にある。また、コロナ禍にはレイトディナー(20時~24時)の時間帯の利用客が激減し、人件費やエネルギー費の高騰も加わり、多くの店が深夜営業を廃止した。
「店舗数が減少し、営業時間も短縮せざるを得ない中ですが、23年からすかいらーくグループでは一部店舗で深夜営業を復活させるなど、やはりどのファミレスも店舗あたりの売上を伸ばしたいというのが正直なところ。すでに深夜料金を始めている同業界は、配膳ロボットの導入などで人件費の削減も進んでいる。今回『すき家』が客数減にならなかったということで、深夜営業
近所のあのファミレスも、深夜営業を再開させるかもしれない。
(小林洋三)