天才テリー伊藤対談「清宮克幸」(3)ワールドカップはプロ化への試金石

テリー ワールドカップが盛り上がっているのに並行して、現在、清宮さんは日本のラグビーをプロ化するために大忙しだとか。

清宮 むしろ、今はワールドカップより、そっちに時間を取られている感じですね。

テリー 先日、21年秋スタートを目指す「プロリーグ構想」を発表されていましたが、あらためてご説明いただけますか。

清宮 今の日本のラグビーは、プロとアマチュアが混在しているんです。例えば今回のワールドカップが終わると、オールブラックスのキャプテンと監督が日本の「トップリーグ」のチームに加入するんですが、そこには普通の仕事をしながらラグビーをやっている会社員ラガーもいるんです。

テリー つまり、年収数億円の選手と数百万円の選手が同じチームに所属することになる、と。

清宮 ええ。運営もボランティアに頼っている、ほぼアマチュア。しかも、観客の入場料は全て日本ラグビー協会に入る仕組みになっていて、チームはただお金を持ち出すだけ。まさにドラマ「ノーサイド・ゲーム」で描かれている、そのままの状況なんです。だから僕らが目指しているのは、自分のチームで使ったお金分ぐらいは稼げる構造にしよう、そういうシンプルなことなんです。

テリー とはいえ、そこに至るまでには問題があるわけですよね。例えば、どういうことが?

清宮 現在のトップリーグの観客の6割を企業関係者が占めている、ということですね。自分でチケットを買って見に来てくれるファンは3〜4割ぐらい。今の日本のラグビーは、企業に依存しているんです。

テリー えっ、それは知らなかったなァ。

清宮 その体制では日本のラグビーの未来は作れません。稼げる人が稼ぐ仕組みにしないと、ラグビーの普及や選手の育成にもお金を使えない。ならば今、ワールドカップで盛り上がっている熱を使って新しいビジネスを興しましょう、と提案しているわけです。

テリー オリンピックの次の年からスタート、というのも狙いがあるんですか。

清宮 はい。今年のワールドカップ、来年はオリンピック・パラリンピック、21年には関西でマスターズもあります。日本で世界的なスポーツイベントがたくさん開催される、この時流に乗らない手はないな、と思いまして。

テリー 清宮さんは今年6月に日本ラグビー協会の副会長になったばかりですよね。いきなりこういう提案をして、協会の上層部からの反発なんかはないんですか。

清宮 いや、「このままじゃダメだ」という思いは全員同じなんです。副会長に就任して、まずこれまでの議事録や資料を見るじゃないですか。そうすると、やはり前からプロ化への道を模索しているわけですよ。ただ、それを実行できる自信がなかっただけなんです。だから、僕が背負うことができれば‥‥。

テリー 何をですか。

清宮 パートナー集めですね。そのためにもJリーグとかBリーグに並ぶだけの価値があるものを見せられるか、ということが大事になってきます。

テリー ということは、今回のワールドカップが、プロリーグ化への大きな試金石となるわけだ。

清宮 はい、すごく大事なものになります。だからこれを機に、一人でも多くの人に、ラグビーの魅力を知っていただきたいと思っています。

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