令和時代には許されない「昭和しぐさ」不適切リスト(3)昭和ギャグは一周回ってセーフ

 ナヨナヨした男を見たら「あいつ、コレか?」と右手を左頰に当てるポーズ。当然、両氏ともNG指定だが、その改善法を石原氏が伝授する。

「LGBTQの人があまり自分の周りにいないという前提が暴言を吐いてしまう原因になるかと思うので、もしかしたら自分の息子や娘がそうなのかもしれないと仮定すれば、そういった暴言は吐けませんよね。これはセクハラでもそうなんですが、その行為を自分の娘にできるのか? ということをまず考えましょう」

 とんねるず・石橋貴明の「保毛尾田保毛男」を何の疑問もなくバカ笑いしていたあの時代は、もはや14万8000光年の彼方へ。

 太った女性を「安産型だね」とたとえて言う場合はどうか。ユリオカ氏は迷わずNGを掲げる。

「僕は平成初期にサラリーマンでしたから、実際に上司が部下に言ってるのを聞きましたね。あと安産といえば『いいとも』でタモリさんが女性の大事な所の絵をイラストにして、安産祈願なんて言って配ってましたけどね。今だと体型のことだけじゃなくて、妊活を行っている人などを巻き込んでの多重事故になりうるかも」

 ユリオカ氏の十八番はハゲネタ。最近はネタに入る前に注釈を入れるという。

「『コンプライアンスが厳しくなって芸人ですらブスとか言わなくなっていますし、ハゲネタで笑ったら皆さんも共犯なんですよ』と断りを入れてますね。ただクローズドな寄席や劇場といったお金を出して来てくれるお客さんは、そんなテレビでの閉塞感を感じていて、ライブでしか言えないことを聞きたいというのはあると思います」

 公の場でデリケートゾーンへの揶揄は厳禁。職場での会話で個性を発揮するには人畜無害でトゲのない、バカバカしく笑えるギャグを言うのみなのか。

「ガビーン」「ガチョーン」「ナハッ、ナハッ」など一発ギャグ、水着女性には「コマネチ」で応戦、下ネタが滑ってこれまたスンずれいしましたで敬礼、「へ・へへ〜ックション〜」の後「チキショーメ」と締めなどの昭和ギャグしぐさについてユリオカ氏はこう援護する。

「部下を笑わすためにこういうギャグを言う人も少なくなってる気もします。若い世代は『スンずれい─』の元ネタがカトちゃんってことを知らなそうですけど、ポーズ的にかわいらしいからアリ。一発ギャグは流行のギャグを言うよりも懐かしいのを言った方が一周回って面白い」

 死語と思いきや、一周回ってギリギリセーフとは。「ただ、もう少し新しくてもいい。エド・はるみの『グー』とか、パイレーツの『だっちゅーの』とか、場面に応じて試してみてもいいんじゃないですか。クシャミでチクショーメで締めるのは、今はエチケットとしてはばかられます。でも捨てセリフ的なのをボソッと言うのはOK。ここは最近の流行語『知らんけど』に変えるのはどうでしょう」(ユリオカ氏)

 ヘックチョン! 知らんけど! 言いにきぃな〜、コンチクショー!

(つづく)

【令和時代はお呼びでない!「昭和しぐさ」チェック】

□残業中の部下に「調子はどーだ?」とモミモミ肩揉み
□色つや話に「さては、コレかい?」と小指を立てる
□上から下まで全身を眺め、「安産型だね」
□手柄を上げた部下には「よくやった!」と頭をナデナデ
□「いいヨメになれるよ」と目を細めてお酌を要求
□寿退社に「もしかして、デキ婚?」とお腹をなでるポーズ
□「俺ってスベスベ」とズボンの裾をまくり上げ
□ペロっと指を舐め、ページをめくる
□水着美女を見かけたら「コマネチ」ポーズ
□嫌いな上司は「えんがちょ」と指でおまじない
□隙あり部下に後ろから「カンチョー!」
□歓談中の間を「ごめんなさいよ~」と手刀ですり抜け
□「ガビーン」「ガチョーン」「ナハッ、ナハッ」等の一発ギャグ
□くしゃみの後は「チキショーメ」で締める
□気に入らない発言には、バキューンと「死刑ポーズ」
□ビックリした時は片手を挙げて「シェー」のポーズ
□「かわいいだろ~」自慢の息子・娘の写真は部下と共有a
□ナヨナヨした男には「あいつ、コレか?」と右手甲を左頰に

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