花王が「国際カミングアウトデー」便乗ツイートで謝罪、理解不足が生んだ悲劇

 毎年10月11日は「国際カミングアウトデー」。意外と歴史は古く、1987年のワシントンでのパレードをきっかけに1988年に制定された、LGBTQなど性的マイノリティの認知を目的とした記念日だ。でも、日本ではまだ浸透しているとは言えず、最近できた新しい記念日だと勘違いしてる人も多いようだ。ひょっとすると、そんな誤解が生んだ悲劇かもしれない。

 大手化粧品・日用品メーカーの「花王」が11日、花王メリット公式ツイッターに「#メリットってどんなシャンプーなのか知らんし。というあなたに話しかけています。実は…#ノンシリコーンシャンプーなんですよ。#国際カミングアウトデーということで、みなさんが知らなそうなことをカミングアウトしてみました。。」と投稿。

 だが、国際カミングアウトデーは、性的指向や性自認をカミングアウトすることを前向きに捉え、社会全体でその理解を深める日でもある。ということもあり、花王の“カミングアウト”には、「あまりに不見識」「性的少数者の大事な日を宣伝に使うなんて理解できてない」「きちんと意味を調べてから投稿するべき」など、多くの批判が寄せられた。

 これを受け花王の公式アカウントは翌12日、「このたびは、『国際カミングアウトデー』を正しく理解せず、思慮に欠けた投稿をしたことについて、深くお詫び申し上げます」と謝罪。「社内の教育啓発を一層強化し、再発防止に取り組んでまいります」と表明した。

 でも、これで一件落着と思いきや、その後も議論が止まない展開になってしまったとか。

「今回の花王の投稿が必ずしもカミングアウトデーの存立意義を棄損しているわけではないという見方もネット上には増えています。ツイートは性的マイノリティを意識したものではなく、もちろん間違いは訂正しなければなりませんが、これで寄ってたかって謝罪を求める不寛容な社会こそ問題ではないかというわけです。なので、『叩いている人の中にカミングアウトデーを理解していた人がどれぐらいいるのか』『一部の人のクレームだけでLGBTの全員が不快に思うわけではない』『むしろエイプリルフールぐらいに定着して、みんながいろんなことをカミングアウトできるハッピーな日になってほしい』といった前向きな意見も増えていますね」(女性誌ライター)

 花王は謝罪はしたものの、問題のツイートは14日現在も削除はしていない。広報部いわく「様々な意見が寄せられているから削除するとそれも消えてしまう」からだとか。つまり、建設的な声も多いということだろう。あなたの意見はどっちか?

(飯野さつき)

ビジネス