「認知症グレーゾーン」超簡単チェックリスト13(2)日々の習慣「3つのキーワード」

 気になる予防策は、決して面倒でも特別なものでもない。「日々の習慣に、ほんの少しプラスするだけ」なので、たとえMCIの自覚症状がなくても実行する価値はあるという。

「キーワードは3つ。まずは『好奇心』です。観劇や美術館、音楽会など、色々なところに顔を出してみましょう。好奇心が強いということは、知的なパワーがあるということですから、MCIに非常に有効なんです」

 そして2つ目は「複雑な知的作業」だ。

「料理や麻雀などの脳トレですね。多少面倒でも〝好き〟という気持ちでついていけるものです」

 そして3つ目が「運動習慣」。運動は生活習慣病の改善でも真っ先に挙げられるが、そうした生活習慣病改善のための運動とは目的が異なっている。

「MCIの方に運動を勧める目的は『運動不足の解消』などではありません。運動を習慣化することで、新たな神経細胞や毛細血管が生まれることを促す目的があります。これは『好奇心』や『複雑な知的作業』も同じで、今まで使っていない神経回路を作るためなんです。この3つの予防策を日々の生活に取り入れることで、脳の認知機能が衰えにくくなる。つまり、MCIからのUターンが期待できるというわけです」

 それでもMCIの4人のうち3人が認知症になってしまうわけだが、発症リスクを軽減するためにも早期の診断が重要となる。

「うちのクリニックでは、グレーゾーンを疑って来院される方の半分は実際にMCI、残りの半分は正常なんです。これは、たくさん病院がある東京という土地柄ゆえで、地方の場合は、かなり認知症が進んでから来院されるケースが多い。そもそも元気な時は、病院には行きたがりませんからね。なので例えば、奥様が夫のMCIを疑ったとします。そういう時は『おとり作戦』をお勧めします。奥様が『最近、忘れっぽいから病院で診てもらうのでついて来てほしい』と夫に付き添いとして来てもらい、まずは奥様が検査する。そのあと『ついでにあなたも診てもらったら』と促すと、素直に検査を受けてくれることが多いですね」

 MCIからUターンするためにも、まずはチェックリストを試してみよう。

「認知症グレーゾーン」チェック13

※1カ月の生活で以下の項目がどれくらいの頻度であったか。全くない:0/時々ある:1/よくある:2/常にある:3で採点。本人チェックは5点以上、家族等によるチェックは9点以上の場合、疑いの必要あり。

(1)物の名前が出てこない。「アレ」「コレ」を多用する

(2)曜日や日にちがわからない

(3)薬の管理ができない

(4)(医師・薬剤師の)指導内容を覚えていない

(5)生返事で何を聞いても「ハイ」「大丈夫」などと答える

(6)ささいなことで泣き、大喜び、激怒などにつながる

(7)同じ行動を繰り返す(発言内容、日課、散歩コースなど)

(8)時間を過度に気にして予定時間の前に行動を開始する

(9)最近の物事を思い出せない

(10)処方箋や診察券を紛失する

(11)検査室へたどりつけないなど医療施設内で迷う

(12)ヨダレや唾液が増える

(13)ろれつが回らず言語が不明瞭である

「週刊アサヒ芸能」4月4日号掲載

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