日大薬物事件「捜査終結」でも「受験者激減」不信感スパイラルが止まらない深すぎる爪痕

 今年1月に廃部手続きが完了し、2月15日付で関東学生アメリカンフットボール連盟から正式に退会した日本大アメフト部。その原因となった違法薬物事件で、警視庁は3月6日、麻薬特例法違反の疑いで元部員1人を書類送検。一連の事件での逮捕、書類送検された学生や卒業生は合計11人になり、これをもって捜査終結が発表された。

 それにしても、この問題は発生直後から日大の後手後手対応と隠ぺいに批判が集まっていた印象が拭えない。社会部記者の話。

「日大アメフト部は1940年の創部以降、21回も学生日本一に輝いてきた名門。そのため、社会人トップの『Xリーグ』や日本代表にも同部出身者は多かった。ところが2018年には悪質タックル事件があり、大学では21年、医学部附属病院の建て替えを巡り田中英壽前理事長が脱税で逮捕。そこへ来て今回のアメフト部による薬物事件で、完全にダメ押しとなりました」

 そんな影響を受けてか、2月27日に日本大学が発表した24年の入学志願者数は、夜間部を含まない4年生大学の累計で7万5147人。これは、前年の9万8057人から2万2900人以上減で、この数字にも受験生たちの「日大離れ」が如実に物語られている。大学問題に詳しいジャーナリスが言う。

「前回、21年の不祥事の際は、大学理事長という、いわば少し距離のある人物の問題だったため、さほどリアリティを感じなかった学生も多かったようですが、今回はアメフト部員、つまり現役学生の逮捕ですからね。そんな中で隠ぺい体質も指摘されたことで、日大を受験したいと思っていた子供たちや、その親たちまでもが敬遠するようになった。この問題は出願直前まで報道されていましたから、結果、それが24年の入学志願者数に反映されたということでしょう」

 また、元理事長の脱税事件などを受け、本来国から交付されるべき補助金もいまだ不交付状態のため、学生や保護者の間からは「今季こそ学費が上がるのではないか」という不安の声も出ているのだとか。

「日大の受験料は1万8000円から3万5000円。3万人減れば単純計算で、受験料だけでも4~8億円の減収になったことになる。当然、入学する学生が減れば入学金も減少するため、日大にとっては、この上ない大打撃となったことは間違いありません」(前出のジャーナリスト)

 警察の捜査は終了したものの、一連の問題が日大に残した爪痕はあまりにも大きく、深いものになってしまったようだ。

(灯倫太郎)

ライフ