2月9日に松本正義・関経連会長が放った言葉がいまだに大きな波紋を呼んでいる。松本氏は、建設業界は大阪・関西万博開催に非協力的であり、けしからん、と声を荒げたのだが、この発言に批判が殺到しているのだ。
「松本氏が『けしからん』発言をしたのは、関西経済セミナーが終わった後の会見の席でした。日本建設業連合会の宮本洋一会長が、パビリオンなど万博会場の建設は厳しいという現状を訴えていることに怒りを爆発させ、報道陣に『松本が怒っていたと書いて欲しい』と注文までつけたほどだった。ところが注文通りにそれが報道されるや、ネット上では《何様のつもりだ!》といった批判が相次ぎ、逆にただでさえ高まっている中止や延期論を増幅させる結果を招いてしまったんです」(経済ジャーナリスト)
万博の成功=関西経済の浮揚との目算もあり、関経連としてはチケットノルマも持ち出しで協力している。そんな時に肝心の建設業界が後ろ向きという状況は、松本氏にとっては決して容認できない話だったのだろう。大阪・関西万博運営の日本国際博覧会協会(万博協会)の会長でもある経団連の十倉雅和会長も、2月13日の会見で松本氏の発言について、「(開催準備の遅れを)何とかしないといけないという強い思いからだったと思う」と語り、騒動の火消しに回った。
ただ、全ての工事の完成が開幕には間に合わないだろうと囁かれているのも事実だ。資材は高騰し、4月からは国が定めた働き方改革により、建設業界でも2024年問題を抱え、なおかつ工事が本格化すれば会場となる夢洲は大混雑となり、さらに工期が遅れると予想されるためだ。
「全国建設業協会が昨年10~11月に、所属する全国1万8000社に『万博の仕事に興味があるか』というアンケートを行ったところ、回答があった775社のうち9割近くが『興味なし』としていたことがわかっています。理由としては、施行余力がない、契約条件が不明、工期が厳しいという答えが多かった。中には、問題が山積している中での開催に疑問、といった声すらあったそうです」(前出・ジャーナリスト)
まさに笛吹けど踊らず状態だが、2025年4月13日の開幕まで残り1年を切ろうとしている。このままで本当に開催できるのか、はなはだ心許ない限りなのである。