能登半島地震の保険請求額は最大900億円か、保険加入率はなぜ低い?

「転ばぬ先の杖」というように、いざという時に頼りになるのが保険だ。

「もちろん避難生活や支援の現場は修羅場のような大変さですが、こんな時に頼りにされる保険会社も対応に大わらわ。東京海上、三井住友、損保ジャパンなどの大手は、全国の事業所から応援要員を集めて、600人体制で対応にあたっているといいます。大規模な地震災害の大部分は政府が再保険で負担をし、民間がその穴を埋める形で全体をカバーする形になります」(経済ジャーナリスト)

 では「激甚災害」にまで指定された能登半島地震。さぞや保険金の支払額も莫大になるかと思いきや、実際にはそれほどでもなさそうだ。ブルームバーグのリサーチ部門によれば、4日付けのレポートで、「時期尚早」との断りを入れつつ、最終的な保険請求額は「210~900億円」と見積もり、過去の大規模災害に比べてだいぶ低く抑えられる見込みという。

 そこで示されている数字では、熊本地震が3620億円なので、多く見積もっても4分の1とは確かにかなり少額だ。ちなみに東日本大震災は1兆3000億円弱。

 半島の先端部分という場所柄、当該住民にとっては交通や物流が寸断。支援の手が届きにくく、苦難を強いられて問題を難しくしているが、その分、企業の工場などの被害が少なく、大口の保険契約が少ないために、「額」としては低くなる模様だ。ただ、それとは別の地域要因もあるようで…。

「1つ指摘されているのが、北陸地方の地震保険への加入率の低さです。加入率の上位は、宮城、高知、熊本、宮崎、鹿児島の80%台で、少ないのが長崎、沖縄の50%台です。全国平均は69.4%ですが、これに対し石川県は64.7%、富山県は63.5%で、下から数えた方が早い」(同)

 ここで宮城、熊本県が上位にあるように、近年に地震災害にあった経験があるというのが分かりやすい理由だ。実際、東北地方は総じて加入率が高い。だが、加えて、保険料を定める政府のデータでは、日本海側より太平洋側の地震発生率が高く示されているのもまた1つとされている。

 確かに、関東大震災や南海トラフ大地震は「いつかある危機」としてよく喧伝される。だが地震列島日本だ。どことても油断はできない。

(猫間滋)

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