「1分単位で賃金計算」が原則なのに…スシローが「労働時間5分未満」を切り捨てしていた!

 回転ずしチェーン大手「スシロー」が、東京の中央労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがわかった。都内の店舗で働く男性アルバイト店員の賃金を正確に支払っていなかったというのだが、どういうことか。

「男性アルバイト店員が加入する労働組合『首都圏青年ユニオン』などによると、勧告を受けたのは『スシロー ヤエチカ店』。スシローは5分未満の労働時間については切り捨てし、支払っていなかったといいます。男性は、過去に切り捨てられていた5分未満の賃金の支払いを求めていましたが、スシローが求めに応じなかったことから、労基署に申告していました。労組はこの男性以外にも未払いの相談を受けていて、それぞれの地域の労基署に申請しているそうです」(社会部記者)

 労働基準法では労働時間は1分単位で計算するのが原則となっている。スシローの親会社であるフード&ライフカンパニーズは「中央労働基準監督署より是正勧告を頂いたのは事実」と認め、内容を確認して対応を真摯に検討しているという。

 5分未満の労働時間切り捨てといえば、2022年にも「ガスト」「バーミヤン」などを展開するすかいらーくホールディングスに対して、男性アルバイト店員が切り捨て分の支払いを求め、労組が団体交渉を行ったことがあった。この時は、対象者約9万人に対して計16億~17億円を支払うと発表された。この事案をスシローが知らなかったとは思えないが…。

「労働時間は1分単位で計算されることを知らない労働者も多かったようで、ネット上では《5分未満切り捨てが当たり前だと思ってた》《自分も5分未満は切り捨てられていた》という声が多く見られます。昨年、家具小売大手のイケア・ジャパンが制服に着替える際の時間については賃金を支払っていなかったことが明らかになり、《着替え時間も賃金もらえるの》と大きな話題となりました。こうした働く側の『無知』につけ込んで企業側が確信犯的に支払っていなかったとは考えたくありませんが…」(経済ジャーナリスト)

 会社の労務担当者が「1分単位ルール」を知らなかったはずはないだろう。スシローの対応が注目されるのである。

(小林洋三)

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