解決!歯科治療の秘密「10」(1)翌日の予約ができない理由

 秋といえば、食欲増進の季節。居酒屋で旬の食材を肴に杯を重ね、気がつけば午前さま。結果、歯磨きもせずに床に就き、ある日突然、歯の痛みで歯科医に駆け込む─。そんな経験がある読者も多いのではないだろうか。とはいえ、身近なようで謎が多い歯科治療。今回はそんな聞くに聞けなかった素朴な疑問にお答えしよう。

 そもそも、それぞれに治療方針も金額も異なる歯科医となれば、いったい何を基準に選んだらいいのか。この際、歯科医の秘密について、洗いざらいわかりやすく解説してもらおう。

「歯周病が歯医者で治らない理由」(愛育社)の著者である、籾山歯科医院(群馬県みどり市)院長の籾山道弘医師に話を聞いた。

Q1 なぜ、歯科医の治療は1回では終わらないのか?

 手や足のケガなら整形外科でシップを貼ってもらい、時間がたてば治ってしまうというケースもあるが─。

「手足と歯との決定的な違いは、歯という組織は手や足のように自然に治るという自然治癒力がないということ。そのため、ごく初期にできた虫歯が再石灰化することはありますが、本当に穴が開いてしまった虫歯が自然に治ることはありません。さらに虫歯が進行して骨のほうまで感染が進んでいるような場合、これを1回で消毒してフタをするということは不可能。そのため複数回での治療が必要になるわけです」

 なるほど、答えは歯のメカニズムにあったというわけか!

Q2 治療の途中に女性スタッフ(歯科衛生士)に交代するのはなぜ? 

 歯科医に通い始めると、途中から「では歯石を取っていきましょう!」などと歯科衛生士にチェンジする場合が多い。

「歯科衛生士は虫歯や歯周病の予防措置をしたり、歯科保健指導などを担当していますが、歯科医が、口の中の衛生状態がよくない中で歯や歯茎の治療をすると、汚れたままで傷をつけてしまいます。ですから、傷んだ、腫れたという緊急処置が終わり痛みが取れたら、本格的に治療に入る前に、その原因である口の中の汚れやプラークを取ってあげることが重要になる。そのために歯科衛生士に交代し、その部分を担ってもらうケースが多いんです」

Q3 なぜ、治療した翌日に予約は入れられないのか?

 治療が終わり受付で治療費を支払うと「では、次の予約を!」となるが、大抵は1週間後の予約が入れられる。どうして、そんなに時間を空けなければならないのだろうか。

「状況や種類にもよりますが、例えば小さな虫歯の場合は、今日、明日、あさってで治しちゃいましょうね、ということはあります。でも、歯周病や根幹治療の場合は根の中の汚れを取って消毒し薬を入れるため、薬効が浸透するまでには少し時間を置かなければならない。ですから、また次の日に来てもらって消毒しても意味がありません。そのため1週間後の予約で、ということになるわけです」

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