赤城乳業が「ガリガリ君」シリーズを70円(以下、税別)から80円に10円値上げすると発表した。大人気商品だけに失望の声が広がっているかと思いきや、ネット上では《むしろ今まで値上げしないでくれてありがとう》と感謝や称賛の声が相次いでいる。
「同社によると、原材料やスティック、容器包装、物流費、人件費、エネルギー費など様々なコストの上昇が続いていて、『経営の合理化・効率化といった企業努力で吸収することが極めて困難な状況』になったことから、同シリーズを2016年以来となる8年ぶりの値上げに踏み切ったといいます。なお、値上げが実施されるのは来年3月1日出荷分からとなります」(社会部記者)
「ガリガリ君」は1981年に50円で発売されると、91年には60円に、2016年には70円に値上げされている。同商品は「遊びに夢中の子供が片手で食べられるかき氷」をコンセプトにしているため、子供が気軽に購入できる価格維持を徹底してきた。前回の値上げは実に25年ぶりのことであり、値上げまでには2年以上も議論が重ねられていたという。
「しかも、16年に値上げされた際には赤城乳業の社長や社員らが出演して頭を下げる、値上げ告知用のCMを放映しました。ステルス値上げなんて言葉があるように、企業としては値上げしたことはあまり知られたくないものですが、CMを制作してまで値上げを伝えたことに絶賛の声が相次ぎ、なんと値上げ直後に『ガリガリ君』の売上が増加するという異例の事態も起きています。今回も原材料の高騰を受けて多くの企業が様々な商品を、2度、3度と値上げされるものもある中で、安易に値上げしてこなかったことが消費者には誠実に感じられたのでしょう」(経済ジャーナリスト)
また値上げ後に売上増という珍現象が起こるかもしれない。
(小林洋三)