先月27日に発表されたプロ野球のベストナイン。セ・リーグは投手に最多勝・最高勝率の東克樹（DeNA）をはじめ、日本一となった阪神からは主力として活躍した大山悠輔（一塁手）、木浪聖也（遊撃手）、近本光司（外野手）の3人が選ばれ、順当な結果となったが、実は2位以下の選手の得票をめぐって〝ある問題〟が起きていた。
セ・リーグ捕手部門では、今季21試合出場で打率.125、本塁打0、打点0に終わった小林誠司（巨人）が、三塁手部門には86試合出場で打率.215、本塁打0、打点14の高橋周平（中日）、遊撃手部門では114試合出場、打率.187、本塁打1、打点18の龍空（中日）がそれぞれ1票ずつ獲得。各選手には申し訳ないがベストナインに選ばれる成績としては不十分だろう。しかし、それ以上に問題なのは投票したのがプロ野球担当の記者という点だ。
ベストナインの投票権を持つのは、取材歴5年以上の新聞社、通信社、放送局のプロ野球担当記者。どの記者が誰に投票したかは一般には公開されていないため、ネット上では《本人に投票した理由を述べさせろ！》《おふざけ票はいらない》などの声が噴出。他にも《記名式にするべき》など投票方法の是非を問う意見も数多く見られた。
「票を入れられた選手本人も忸怩たる思いでしょうから、彼らにも失礼です。ただし、このような結果になるのは毎年のことで、成績を度外視して個人の贔屓の選手に、あるいは愉快犯的にウケを狙って投票しているのは明らか。プロの記者がベストナインの趣旨を蔑ろにして、〝川崎祭〟のような真似をするとは、本当に恥ずかしいことです」（スポーツジャーナリスト）
ちなみに「川崎祭」とは、03年のオールスターファン投票で、当時中日だった川崎憲次郎投手が得票１位になった騒動のこと。同年の川崎投手は一軍登板がなかったものの、高額な年俸に見合わないとして2ちゃんねる（現5ちゃんねる）で投票が呼びかけられ、あれよあれよとファン投票1位に。本人が辞退するという後味の悪い結果となった。
ただし、ベストナインの投票権を持つのはシーズンを通じて現場で取材にあたってきたプロの記者であるだけに、よけいにタチが悪いともいえるのだ。
「メジャーでもMVPやサイ・ヤング賞の投票権を持つのは全米野球記者協会の記者ですが、選考理由についてメディアから説明が求められた場合には投票した本人に回答義務が生じます。日本も同じやり方にして記者にも責任感を持たせないとファンは納得しないでしょうね」（同）
匿名でも構わないから選考理由くらいは教えてもらいたいものだ。
