あんなに暑かった夏がウソのように、気温がどんどん下がってきたね。お疲れ様です。衣替えは済みましたか? 皆さんは、日々着ている服って、どう買ってますか? 自分で買う、奥さんや彼女が買ってきたものを着る。まあ、色々だよね。
今度、ひとつ洋服タンスの中を見てほしい。特に自分で洋服を選ぶ人は、同じようなデザインのものばかりが並んでいませんか。
それのどこがいけないんだって、まあ、男の価値は中身だからね。着てるものじゃ決まらない。それはそうだ。それを十分わかった上で言うんだけど、もしも営業関係の人で、自分の印象ってのも少し考えなくちゃいけないとか、人間関係に悩んでいたり、そういう人こそ特に聞いてほしい。
初対面の人はもとより、あまりよく知らない人は、その人の外見や印象で人間関係にいらない壁ができたり、距離感を取ろうとしたりもするものだと思うのです。
洋服ってのは、冬なら防寒など寒さを凌いだり、厳しい環境で仕事をするために体を守ったりする。そういう実用性の部分はもちろん大切だけど、一方で周りの人を不快にさせないために選ぶって部分もあると思うんです。冠婚葬祭の時にその場の雰囲気に合わない格好で行くのは非常識だと思われる。最近は自由な服装で働ける職場も増えたけれど、それでも、その場の空気になじむかどうかは大切だったりする。
つまり、できれば周りの人たちにいい印象を与える洋服を選ぶことも肝心だと思うのです。それで仕事がうまくいったり、人間関係がよくなるきっかけになれば、安いもんです。周りの人のことも配慮して洋服を選ぶことは、周囲に対して気を遣うイコール人間関係を大切にしてるってことだからね。
もちろん、全員には当てはまらないかもしれないけれど、周りは関係ねえって意地を張って、自分の気に入ったものを着るのは、どうかと思うんだよね。まあ、人それぞれだけれど、どこかで酒を飲もうと出かける時にしても、店の雰囲気に合わせた格好で行く。金を払ってるんだからって偉そうな態度では行かない。すると店の雰囲気にもなじむし、店員の対応もよくなるもの。同じお金を払っていても楽しくなるよ。
そこでね、読者の人の中でそうかもなあと思ってくれたなら、次に洋服を買う時には、ぜひ、他人に洋服を選んでもらう、提案してもらうことを考えてもらいたい。自分より若い人に付き合ってもらうとか、店の人に選んでもらうとか。他人にいい印象を持ってもらうために、他人の視点で洋服を選んでもらう。すると、洋服ダンスに並んでるものとちょっと違うものになるはずです。
もう一つ、洋服を値段で決めることが多い人は考えてもらいたい。特にバーゲンで半額だから、安いから買おう、といった決め方をしているなら要注意。安さで選んだ洋服は、デザインや風合いなどが気に入って買った時とは違って、その時は得したと思っても大して愛着が湧かないことが多いはず。
例えば、1万円の洋服が半額の5000円だったから買った。もう一つは、気に入ったから定価の1万円のままで購入したとする。
購入後、気に入った1万円の洋服は愛着があるから100回着たとすると、1回あたり100円。値惚れで買った半額の服は大して好きでもないから30回しか着なかった。その場合は1回あたり約167円。安く買ったつもりでも、結果的には定価で買った方が安くついたということになるよね。
このように、安く買うことにこだわるよりも、結局は安くついたという買い方にこだわってもらいたいです。
これから年末年始にかけて人と会う機会も増えるでしょう。風邪に気をつけてお互い頑張ろう。
佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活躍中。著書「素人はボロ儲けを狙うのはおやめなさい 安心・安全・確実な投資の教科書」(扶桑社)ほか多数。