阪神戦に連敗し、原巨人は目の前で岡田彰布監督の胴上げを見る“危険性”も出てきた。
窮地に立たされた9月13日、二軍戦でも芳しくない光景が見られた。クローザーの大勢が登板したのだが、
「1回を投げて、2失点。2つの三振を奪っていますが、内容は良くなかったですね」(スポーツ紙記者)
大勢は右上肢のコンディション不良でチームを離れていた。同日の登板で実戦復帰2試合目となり、原辰徳監督は近々の一軍復帰も示唆していた。しかし、ライバル阪神の優勝マジックナンバーは「1」、3位DeNAとのゲーム差は1.5。クライマックスシリーズ進出の可能性は残されているが、大勢の復帰を急ぐ必要はなくなった。代役でクローザーを務める中川皓太がいるので、大勢は来季に向けた調整に切り替えるべきかもしれない。
「故障が再発する心配は、同日のピッチングを見る限り、ないと思います。下半身を気にしている様子は全くないし、あとは実戦感覚だけというか、ボールのキレ、スピード、細かいコントロールなどで、自身のイメージ通りにいってないようです」(同前)
守護神不在が現在の順位に影響しているかもしれないが、大勢はまだプロ2年目、これからのピッチャーである。見切り発車させるべきではない。ただ、こんな見方もあった。
「大勢が戻ってくることで、チームの士気が高まるかもしれない」(ベテラン記者)
目の前での胴上げを阻止できたとしても、阪神3連戦のあとには中日、ヤクルトとの連戦が控えている。両チームともCS進出争いには加わっていない。両チームから全勝すれば、3位浮上も見えてくる。大勢の一軍復帰を急ぐ理由はこのあたりにありそうだ。
「CS進出を決めた後で、万全の状態で大勢を昇格させるのも一案」(同前)
ひと昔なら、優勝チーム決定後の残り試合は「消化試合」だった。CS導入後、順位争いが最後まで続くようになり、4位という中途半端な位置にいるチームは「来季」に向けて切り替えることもできない。
とはいえ、無理して使って故障再発すれば元も子もない。それこそ来期以降に禍根を残すことになる。
(飯山満/スポーツライター)