“因縁の相手”に胴上げ見せつけ!? 阪神「死球被害」の最終シナリオ

 阪神・近本光司を途中交代させた「死球劇」はまだ終わっていない。

 9月5日、東京ヤクルトが巨人戦に逆転負けを喫した。丸佳浩に同点となる犠牲フライを許したのは左腕・山本大貴。そう、3日の阪神戦で近本の右脇腹にぶつけてしまい、岡田彰布監督が怒りをあらわにし、ヤクルト側も江幡秀則球団専務が報道陣に釈明する事態となった、あのときの投手だ。

「ヤクルトは阪神の正捕手・梅野隆太郎にもぶつけています。梅野は左手首を骨折し、今季中の復帰が絶望視されている。また、近本が死球を受けた場面は、0対7で阪神が大量リードで迎えた9回表の攻撃中でした。岡田監督の言う通り、点差、イニングから考えて、厳しいコースを責めなければならない場面ではありません」(ベテラン記者)

 山本も故意でぶつけたわけではない。しかしこの2日間、野球報道ではトップ扱いされており、山本にとってはつらい時間となったはず。その影響だろう。5日の巨人戦で、山本の投球に“変化”が見られた。

 8回表、巨人の攻撃。スコアは3対2でヤクルトがリード。ヒットとエラーが絡んで無死1、3塁、左バッターの3番・丸が打席に向かうところで、高津臣吾監督は山本を救援マウンドに送っている。

 山本対左バッター。近本にぶつけてしまった場面が重なってくる。ヤクルトの捕手・古賀優大は丸の外角に体ごと動かして、「外角球」を要求した。丸はいとも簡単に犠牲フライを放ち、同点に…。最終的にヤクルトは逆転負けを喫した。

「山本が場内アナウンスでコールされたとき、ちょっとざわつきました」(前出・ベテラン記者)

 山本は貴重な左の救援投手だ。「対左バッター」のワンポイントで起用されるケースも少なくないが、古賀が体を外角に寄せたということは、メンタル的に「内角を厳しく攻める」状態ではなかったのだろう。

「ヤクルトは8月19日、中日・石川昂弥の頭部にもぶつけてしまいました。ヤクルトの与死球の多さがどこかで取り上げられると思います」(球界関係者)

 ヤクルト、阪神の直接対決は22日までない。仮に阪神がどこかで足踏みをしてしまった場合、ヤクルト戦で胴上げとなる。遺恨の結末はヤクルトの屈辱か? 

(飯山満/スポーツライター)

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