金正恩の愛娘が突然公の場から姿を消した! 妹・金与正の策略か

 北朝鮮メディアが金正恩の娘とされる「キム・ジュエ氏」の写真を初めて公開したのは昨年11月のこと。以来、娘は度々、正恩氏と並んで公の行事に登場。今年2月8日に平壌で行われた「朝鮮人民軍創建75年記念」軍事パレードにも出席し、早くも後継者のお披露目かと話題になっていた。

「パレード前日夜、ジュエ氏は軍の最高幹部が集まる宴席にも出席しているのですが、そこで撮影された写真の中には、父親と母親の間に座る彼女の姿があり、さらに、これまでは、金氏の『最愛のお子様』と紹介していた国営メディアが、この日を境に最上級の『尊敬するお子様』という表現に変えたことで、ジュエ氏の動向に注目が集まることになりました」(北朝鮮ウォッチャー)

 ところが3月16日にICBM(大陸間弾道ミサイル)発射を視察したときに着ていたコートが、1着約25万円のクリスチャンディオール製だったと報じられて以降、正恩氏に同行する写真は公開されるものの、なぜか「尊敬するお子様」と言った記述が消え、結局5月17日の「軍事偵察衛星視察」報道を最後に写真も配信されなくなった。

「北朝鮮では災害などの影響による食料不足が深刻で、毎年餓死者が続出している状況です。そんな中、イベントの度に正恩氏の隣で高級ブランド品を身に着けた、ふくよかな娘の姿を見せられる国民は、正直たまったものではない。あからさまに文句を言おうものならすぐに密告され処罰されるため、表だって批判めいたことは言えませんが、国民の中にそうした不満が渦巻いていることは、当然、政権幹部の耳にも入っているはず。そうしたことから、娘を表に出し『家族を大切にする最高指導者』を演出するのは得策ではないと判断し、彼女を公の場からひっこめたのではないか、とみる韓国の専門家も多いです」(同)

 実際、4月には米政府系ラジオ「自由アジア放送(RFA)」が、北朝鮮現地筋などの話として「北朝鮮の国民はジュエ氏に拒否反応を示し始め、『もうテレビに出てほしくない』というのが住民の願いだ」との記事を掲載している。

「実はもう一つ、当局がジュエ氏の露出を抑えはじめた理由について、正恩氏の妹・与正氏が関与しているのではないか、との見方をする専門家もいます。というのも、6日の朝鮮中央通信の報道によれば、これまで正恩氏の軍需工場視察の際にはたいがいその隣にはジュエ氏がいたが、直近の視察には与正氏が同行していたというんです。与正氏は先月28日の、中国訪朝団を招いた会食で演説し、その存在感を内外に示しています。つまり、ジュエ氏に対するバッシングによって与正氏が巻き返し、後継者争いの潮目が変わったという見方もできるでしょう」(同)

 睡眠障害や生活習慣病など金総書記に健康不安が噂されるだけに、この国の権力闘争は国内外から注視されている。

(灯倫太郎)

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