今年6月には、時計をつけている手首が以前より細くなった映像が配信され、病気説やダイエット説など、いくぶんスリムになった容姿をめぐり、様々な噂が飛び交った北朝鮮の金正恩総書記。直後には、コンサートを鑑賞する正恩氏の映像を見た、という平壌市民が「総書記同志のやつれた姿を見ると、我々は最も胸が痛い」と街頭インタビューで発言。その映像が世界に配信され、手の込んだプロパガンダか、と話題なったことは記憶に新しい。
そんな正恩氏が、今度は軍のイベントに出席した際、国営メディアで放送された、ある異変に注目が集まっている。
北朝鮮情勢に詳しいジャーナリストが語る。
「問題の映像は7月24日から27日にかけて行われた『朝鮮人民軍第1回指揮官・政治活動家講習会』を撮影したもので、映像じたいは30日、朝鮮中央テレビにより報じられたものです。正恩氏はこのイベントに3日間出席したのですが、そのなかに数回、後頭部に、手のひらほどの大きさの絆創膏のようなものが貼られている姿が確認されたんです。ただ、3日すべてではなく、27日の『全国老兵大会』と、翌28日の『友誼塔』訪問の際には絆創膏はなかった。ですが、後頭部がしわのような形で少し盛り上がり、濃い緑色に変色しているように見える部分があって、韓国情報筋の間で再び正恩氏の健康状態をめぐり、さまざまな憶測が飛び交うことになったんです」
通常、後頭部に絆創膏を貼るのは、大きなニキビなどのできものや脂肪腫などを除去した後、皮膚を保護するため、などのースが想定されるが、
「正恩氏はこめかみの辺りまで髪の毛をそり上げているため、後頭部に傷があれば隠すのは難しいですからね。ただ今のところ、韓国の中央日報はじめ、米政府系のラジオ局『自由アジア放送』などのメディアも、良性腫瘍の一種、脂肪腫を取り除く簡単な手術をした後の傷を保護するためでは、として、金氏の健康状態そのものに変化はないとの見方を示しています。としても、同氏の健康状態は、各国情報機関の最大の関心事の一つですからね。今回、北朝鮮が配信したこの絆創膏映像は、海外情報機関に格好の材料を提供したと言えるでしょう」(前出・ジャーナリスト)
毎度のことながら、その一挙手一投足に注目が集まる正恩氏だが、SNS上では、《どうしたらあんな後頭部に怪我するん?絆創膏といい、この髪型といい、病状なんかよりツッコミどころ満載だな》《剃るときに、誤って切ったとすると、その理髪担当者の”今”が気になるが……》《本人が手術をして絆創膏を貼ったら、影武者は皆同じ場所に絆創膏を貼るのだろうか?》といったコメントであふれ、さらには《東京五輪を早々に不参加表明しちゃったし、最近誰も注目してくれないから、『こっち見て!』のアピールかも?》といった意見も。
前出のジャーナリストが引き取って言うには、
「たしかに、『悪性ウイルスによる危機的状況から選手を守るため』との理由で東京五輪への不参加をいち早く表明した北朝鮮としては、新型コロナの感染拡大で五輪中止もありうると踏んでいた節もある。ところがフタを開けてみれば、中止どころか、それなりに盛り上がっていることもあって、苦々しく思っていることは想像に難くありません。もともと北朝鮮は、これまで夏の大会で金メダル16個を獲得するなど、スポーツのレベルは高い国で、五輪に対する国民の関心も高かったはず。そうなると、鶴の一声で五輪不参加を決めた正恩氏に批判の声が出ることも考えられ、最近とみに激しくなった日本批判も自身の判断を正当化するためとの見方も出ています。まさか今回の絆創膏も、何らかのアピールだとは思えませんが…」
ちなみに、祖父の金日成主席にも首の後ろに大きなこぶがあったことが伝えられている。
(灯倫太郎)