ペロペロ少年への6700万円賠償請求を取り下げた「スシロー」の判断は正しかったのか

 回転ずしチェーン大手の「スシロー」でしょうゆ差しの注ぎ口を舐めるなど迷惑行為をした17歳の少年に、運営会社「あきんどスシロー」が約6700万円の損害賠償を求めていた訴訟で、7月31日付で訴えが取り下げられていたことが分かった。スシローの判断には賛否両論あるが、果たして訴えの取り下げは正しかったのだろうか?

「少年は今年1月に岐阜市にある『スシロー岐阜正木店』に友人と来店し、しょうゆ差しの注ぎ口を舐めたり、回転レーンを回るすしに唾液を付けたりする少年の行動を友人が撮影。その動画をSNSにアップしていました。これを受けてスシローは『多くの客に著しい不快感を与えた』ことで客が大幅に減少したと主張し、約6700万円の損害賠償を求めて提訴したのです」(社会部記者)

 少年側は5月に地裁へ提出した答弁書で、「客の減少は同業他店との競合も考えられる」などと反論。スシロー側はさらに損害賠償の金額を増やす考えも示していたが、結局は調停が成立し、訴えが取り下げられることとなった。スシローは取材に対して、「責任は認めていただき、当社としても納得できる相応の内容だった」と説明し、双方が和解したことを明らかにしている。

「このニュースに、少年の未来を守ったと称える声がある一方で、迷惑行為が再び起きないためにも巨額賠償させるべきだったとする声も少なくありません。スシローは具体的な内容の公表は控えるとしていますが、正直に言って少年側に損害賠償を支払わせることは企業イメージ的にはよろしくないですし、たしかに事件以前から客は減少傾向でしたから、勝訴したとしても請求額が満額認められる可能性も低いので、お互いが納得のいくラインで和解したのでしょう。ただ、この訴訟には大きな注目が集まっていましたから、回転ずし業界としては今後の迷惑行為を抑止するためにも、最後まで戦うことを期待していたでしょうね」(経済ジャーナリスト)

 今回のスシローの判断は後々どのような影響をもたらすのだろうか?

(小林洋三)

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