米調査機関がスッパ抜いた中国共産党とチャイニーズマフィアとのズブズブ関係が波紋!

 中国ではかねてから、一部共産党幹部が「黒社会」と呼ばれるチャイニーズマフィアを巧みに使い、汚職などで暴利をむさぼっていることが大きな社会問題とされてきた。そこで習近平政権は2018年1月、反腐敗闘争をスローガンに地方の末端幹部の汚職を摘発する「掃黒除悪」、つまり「黒社会を一掃し、悪を取り除く」といった運動を看板政策に掲げ、大々的に展開してきた。

「中国では09年に当時重慶市トップだった薄熙来氏が、黒社会の撲滅をうたった派手な『打黒』キャンペーンを展開し、5万人の重慶市民らの身柄を拘束したことは、よく知られる話です。この時には黒社会との戦いが、見事政治キャンペーンに結びついた。そんな前例もあることから、習氏も『トラ(大物)もハエ(小物)もたたく』と、相当な鼻息で汚職幹部摘発の反腐敗闘争に着手したのです」(中国ウォッチャー)

 結果、各地で汚職議員らの摘発が相次いだものの、とはいえ中国の政治が黒社会と結びついてきた歴史は古く、現に清朝の時代に結成された地下組織「青幇」が20世紀になっても強大な勢力を持ち、当時の中国国民党がこの組織の力によって権力基盤を固めたことは有名な話だ。

 そして今、その黒社会が世界各地に設置する「非公式警察署」に情報を提供し、その見返りに便宜を図ってもらうという関係性で結びついている、と報じたのは米国の調査報道機関「プロパブリカ」だ。このニュースが波紋を広げている。

 秘密警察は世界各国で活動する人権・反体制活動家を監視するという習近平政権肝いりの組織で、判明しているだけで日本を含む世界53カ国、100カ所以上にそういった場所が設置されていると言われるが、

「記事によれば、中国共産党と黒社会との共謀が発覚したのは、イタリアのプラトという街で2010年に発生した殺人事件がきっかけ。この際、中国マフィア6人組が2人の抗争相手を殺害したのですが、7年後の17年になり、殺害を指示した中国マフィアのボスが、イタリアを訪問していた中国共産党代表団のメンバーと会っていたという事実が電話盗聴により確認されたというんです。しかも、代表団トップはイタリア首相とも会談していた当時の中国副首相だった。そんな人物が、マフィアの一ボスと一体何を話す必要があったのか。そこで、両者の疑惑の関係が注目されたというわけです」(同)

 イタリアの国家安全保障関係者は「プロパブリカ」の取材に対し、「彼らは領事館がやらない仕事をする。しかも上手に」と答えているが、プロパブリカはその「やらない仕事」こそが、中国の「非公式警察署」が行っている人権・反体制活動家に対する弾圧だと指摘している。

 これが事実だとしたら、中国共産党は、表向き黒社会撲滅を謳う裏で、黒社会を手先に使っているということになるわけだが、またもや恐ろしい実情が浮かび上がるようなニュースだった。

(灯倫太郎)

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