「中国共産党に入党したい」ジャッキー・チェン発言の裏に潜む”ある事情”!?

 香港を代表する映画俳優ジャッキー・チェン氏(67)。そんな彼が「共産党に入党したい」との意向を表明したと、12日の中国共産党機関紙「環球時報」(英語版)が伝えた。

 同紙によれば、チェン氏は8日、中国共産党100周年を迎え北京で開かれた中国映画家協会のシンポジウムに参加。その席で「共産党は偉大だ。約束したことは数十年で実現するだろう」などと党を称賛し、「私は中国人になって光栄だが、共産党員がうらやましい。私も党員になりたい」と語ったと伝えられる。

 中国事情に詳しいジャーナリストが語る。

「ジャッキー・チェンは香港生まれではあるものの、自身を『五星紅旗(中国国旗)の守護者』と呼ぶなど、大の親中派として知られる俳優の一人。香港国家安全維持法施行の際にも、多くの香港スターが反対を表明する中、断固として中国支持を表明したことが知られていますが、まさか映画関係者が一堂に会する場所で共産党入りを直訴するとは……。これで、完全に党の広告塔だと言われることは間違いないでしょうね」

 とはいえ、中国のSNS上では、過去の女性スキャンダルをはじめ、家族のある問題から「チェン氏が入党審査を通るはずはない」と冷めた見方もあり、その問題というのが「薬物使用で実刑判決を受けた息子の存在」と指摘するのは、前出のジャーナリストだ。

「チェン氏には元女優のジョアン・リン夫人と間に、ジェイシーという息子がいるのですが、彼が2014年8月18日、友人の台湾人俳優とともに、薬物を使用した疑いなどで北京市警察当局により逮捕されたんです。直接の容疑は、他人が薬物を使用する場所を提供したというものでしたが、彼の部屋から100グラムの”ハッパ“も発見され、検査でも陽性反応が出たことで裁判では有罪が確定。2015年1月には6カ月の実刑判決が下されました」

 ところが当時、チェン氏は中国政府から薬物撲滅大使に任命されており、さらに、シンガポールでも、芸能人初の撲滅大使に任命されるなど当局の取り締まりに尽力していた。

「周知のように、中国とシンガポールでは、違反薬物の売買や密輸には死刑を含む厳罰を適用していますからね。自らも『何千人もの子供たちを傷つけるような類の人間は役立たずで、しかるべき罰則を与えるべき』として、『薬物の売買に対する死刑支持を』と発言していただけに、息子の処遇をめぐり裁判の行方に注目が集まっていたのですが……」

 結果、未決勾留日数が刑期に算入され、ジェイシーは15年2月には出所。ただ、長年に渡り違反薬物の一掃と使用者への厳罰を求めてきたチェン氏の息子の事件はマスコミの恰好のネタとなり、「中国政府に働きかけたのでは」という噂がまことしやかに流れたこともあった。

「中国国内法では、50グラム以上の違反薬物の密輸・密売は最高で死刑。なので当時、網易娯楽など一部メディアでは、100グラム以上のハッパを所持していたジェイシー容疑者が密売に関わっていた場合、『死刑の可能性あり』と報じられていました。しかし蓋を開けると、量刑はわずか6カ月。普通に考えれば、誰だって不思議に思うはずで、当時はチェン氏が習近平氏に直接、減刑を直訴したなんて噂が流れたものです。もちろん、証拠はありません。ただ、チェン氏にとって息子の件が中国共産党からの大きな借りになっていることは間違いないでしょうね」 (前出のジャーナリスト)

 それが事実だとしたら、途方もなく大きな借りが出来たと考えて不思議はないが、ともあれ、今後もジャッキーの発言が注目される。

(灯倫太郎)

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