【緊急連載】大谷翔平「8・1土壇場トレード」はあるか(2)岩手時代からのドジャースとの縁

 大谷翔平とロサンゼルス・ドジャースのファーストコンタクトは、2010年4月とされている。駐日スカウトが大谷の進学先である岩手県・花巻東高校を視察したのがきっかけだという。

 学校、大谷の在籍したリトルシニア、MLB関係者らの証言が微妙に食い違うためはっきりしないが、「大谷と入れ替わりで卒業し、プロ入りした菊池雄星(現ブルージェイズ)のスカウティングの流れで、ドジャース駐日スカウトが4月以降も同校を訪れた」という事はあったらしい。
 
「大谷は中学時代、一関リトルシニアに所属し、全国大会にも出場しています。すでに中学硬式クラブを一堂に集めた大会も定着していたので、NPBスカウトも大谷の才能に気付いていました」(在京球団スタッフ)

 大谷自身がドジャースに親近感をいだいていたことは間違いないようだ。

 そのドジャースと大谷の“運命の物語”が始まるかもしれない。

 MLBニュースの名物記者、ジョン・モロシ氏がTV番組で、「エンゼルスは大谷のトレード打診を考慮するが、交換条件はかなり高い」と発言した。

 その「かなり高い交換条件」の中身は明かされなかったが、関係者の話を総合すると、エンゼルスは「複数のトッププロスペクト、さらに主力選手が交換要員として提示されるのなら、検討してもいい」としているようだ。

「トッププロスペクト」とは、超の付く若手の有望株のこと。ドジャースはMLB公式HPの「トッププロスペクト・ランキング」に掲載された100人のうちの8人を抱えている。
 
 突出して多く在籍しているわけではないが、十分対応できるだろう。また、大谷の契約は今季終了と同時にいったん切れる。その後の慰留交渉のことも考えると、資金力が豊富な大都市球団しか対応できないはずだ。
 
 もっとも、大谷のトレードについて、エンゼルスのオーナーであるアルトゥロ・モレノ氏は「大谷のトレード放出は考えていない」と6月に発言して以来、それを更新していない。

「憶測やウワサを含め、大谷のトレード話は今に始まった話ではありません。モレノ氏は『大谷をトレード放出したオーナー』としてMLB史に名前が残るのをもっとも嫌がっている」(地元メディア)

 球団売却を取り消した今年1月、米財界でのモレノオーナーの信用はガタ落ちした。また、売却騒動直後の今春は事情が違うが、

「どの球団オーナーもスプリングトレーニングの地に顔を出し、選手たちを激励します。ところがここ数年、モレノ氏はキャンプ地のアリゾナに来ていません」(前出・同)

 トレードが成立しなければ、今オフ、FA争奪戦のマネー戦争となる。 エンゼルスもそれなりに資金を持っている側だが、ドジャース、ヤンキース、メッツ、レッドソックス、パドレスなどのリッチ球団と争って勝つ保証はない。

 損得勘定で「大谷を諦めてトッププロスペクトを…」と、球団売却で翻意したときと同様、また考えを変えたのだろうか。だが、疑問もある。大谷の本命がドジャースだったのなら、なぜ、2017年オフのポスティングシステムでエンゼルスを選択したのか? 

(以下次回/スポーツライター・飯山満)

スポーツ