J2「東京クラシック」で遺恨勃発、国立競技場に大ブーイングが響いたワケ

 サッカーJ2リーグ第25節で、町田ゼルビアVS東京ヴェルディの試合が行われたのは7月9日のこと。東京を本拠地に置き、天王山で、しかもJ2で初めて改修後の国立競技場での開催に、観客は3万8402人の大観衆が集まる熱狂ぶり。しかし、ヒートアップした理由はそれだけではなかった。サッカーライターが説明する。

「試合の3日前、ヴェルディのMFバスケス・バイロンが町田に移籍することが発表されたんです。バイロンはかつて青森山田高校でプレーし、現在、町田で指揮をとる黒田剛監督(写真)の元教え子。高校時代の恩師のもとでプレーすることを選択しました。よくある理由とはいえ、タイミング的に首位のチームが2位の主力選手を引き抜く禁断の移籍に、両チームのサポーターは騒然。裏切者扱いされ、ヴェルディの選手の間でも、かなり不満が募っているようで…」(サッカーライター)

 そんな両チームの直接対決となれば、試合前から異様な雰囲気になるのも当然のこと。バイロンは試合に出場しなかったが、試合前に町田の全選手が紹介されると…。

「バイロンの名前がアナウンスされ、スクリーンに町田のユニフォームを着た写真が出た瞬間、ヴェルディのサポーターから地鳴りのような大ブーイングが響きました」(試合観戦に訪れたサッカーファン)

 そんな中、試合は町田が2点先行した後、後半にヴェルディが2点を取り返して、ドロー決着。どちらも勝ち点1の痛み分けとなったが、試合後に新たな遺恨が勃発した。先のサッカーライターはこう明かす。

「試合直後にヴェルディの城福浩監督が怒り心頭の様子で、一旦は黒田監督らと握手をしましたが、町田側のベンチに向かって言い合いになり、味方のスタッフに制止されていました。その後、『俺らはサッカーで勝負する』と声を荒らげていたんです。試合後の会見でも『(相手選手が)倒れるのが本当に目にあまるものがあった』と、怒り収まらずに批判。町田の選手が時間稼ぎともとれるような倒れるプレーに納得がいかなかったのです。もともと熱血漢の指揮官ですが、ここまで苦言を呈するのも珍しい」

 これにはSNS上でも、〈見ている方も、ゲームがすぐ止まると面白くないよね〉〈本当にこれは見苦しいにも程があるって感じだった〉と、城福監督を支持するコメントが目立った。

 J2はまだ折り返しをすぎたばかり。「東京クラシック」の遺恨勃発で、首位争いはますます見どころが増えそうだ。

(風吹啓太)

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