08年をピークに減少を続ける日本の総人口。2022年10月の統計で1億2494万7000人と前年に比べ55万6000人減少した。人口増減率は-0.44%で、当然ながら少子化の影響が大きい。
そんな中でも増加傾向にあるのは首都圏だ。
コロナ禍では一時的に減少に転じたものの、4月現在の各都道府県の前年同月比の人口増減率を調べると、1位は東京の0.49%(6万8095人増)、2位は千葉で0.03%(1993人増)、3位は神奈川の0.01%(979人増)と1都2県がプラスとなっている。
一方、残りの44道府県は減少傾向が止まらない。
前年同月比マイナスの中でワースト1位は秋田で-1.76%(1万6489人減)を筆頭に、2位青森の-1.52%(1万8327人減)、3位岩手の-1.43%(1万6498人減)、4位山形の-1.37%(1万4374人減)、5位福島の-1.26%(2万2774人減)となっており、下位5県を東北が独占している形だ。
これは地方別に見ても突出した数字である。では、なぜ東北の減少率はこんなにも高いのか。
「21年の合計特殊出生率(15〜49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの)を見ると、人口減少率ワースト1位の秋田が37位(1.29)、5位の福島は9位(1.49)で他の3県もこの間にランクインしており、決して出生率が低いというわけではありません。各自治体の人口増減率は『出生数<死亡数』に加えて『人の移動による人口の県外流出』が大きく影響するのです」(社会人口学者)
例えば東京の同年の合計特殊出生率はワースト1位(1.12)だが、前述のように人口は増加している。
対して東北は10代後半から20代前半の若者層の流出が顕著。仙台市のある宮城県を除き、進学、就職に伴う県外への移住が多いという。
「総務省の『住民基本台帳人口移動報告』などを見ても、全国的に東北地方はこの割合が比較的高いですね。昭和の高度成長期の時代から東北の若者は県外で働くという意識が強く、彼らの受け皿となっているのが首都圏や仙台圏。令和になってもそれは変わらず、県外に進学しても卒業後はそのまま現地で就職というケースが他の地域に比べて高いのです。それでも子供が多く生まれていた時代は人口のバランスは取れていました。しかし、少子化によってこのバランスが崩壊したのです」(前出・社会人口学者)
国や自治体は人口流出を防ごうとさまざまな対策を講じているものの、過疎の加速化に歯止めが利かないのが現状なのである。