「ゼロだとは思っていなかった」“コロナ初感染”に安堵する岩手県民のホンネ

 全国で唯一、新型コロナウイルスの感染者が確認されていなかった岩手県にて7月29日、男性2人の感染が発表された。一人は県庁所在地の盛岡市、もう一人は太平洋に面した宮古市に在住しているという。今回の感染確認により、県民の間にはホッと胸を撫でおろした人も少なくないという。

「これまで“感染者ゼロ”を維持してきたことから、誰しもが県内での感染者第一号になることを恐れていました。もし感染が発覚したらリアルでもネットでも袋叩きに遭い、もう地元には住めないとの恐怖感もあったのです。そのため少々具合が悪くても検査を受けないという風潮すらあり、“隠れ感染者”は意外に多いとの疑念も絶えないことから、今回の発表によりPCR検査を受けることへの抵抗感が薄まる効果も期待されています」(週刊誌記者)

 ネット上では《感染した人を責めないで!》《犯人探しはやめよう》という声掛けが続出。これは、そういった行為が容易に予想されることの裏返しでもある。そして当の岩手県民はまだ、コロナ感染者となることへの恐怖心がぬぐい切れないというのだ。

「たしかに県民第一号の感染者こそ見つかったものの、人口30万人の盛岡市と面積では県内最大の宮古市ですから《見つかって当然》との意識もあるようです。なにしろ岩手県は日本で最も広い県であり、盛岡市や宮古市での出来事を遠い場所での話と感じている県民も少なくありません。それゆえ《自分が住む市町村の第一号》になることへの恐怖感はむしろ高まった恐れすらあります。小さい自治体ほど感染者の特定は早いでしょうから、今は《盛岡や宮古ですら危ない!》として、自分の住む街から出ないようにする人が増えるのは確実でしょう」(前出・週刊誌記者)

 7月30日には3人目となるコロナ感染者が確認されたが、岩手県民を名乗るネット民からは「我々だってこれまで感染者がゼロだなんて思っていなかった」との声もある。ともあれ岩手県内はもちろん、コロナの感染拡大に歯止めがかかるよう祈るばかりだ。

(北野大知)

ライフ