佐藤治彦「儲かるマネー駆け込み寺」ナゼ“配当利回りのいい株式に少額投資”がいいのか

 毎日のお仕事ご苦労様です。給料や年金の一部を節約して貯蓄する。いざという時のために、ある程度のお金があることは大切です。

 その苦労して作った貯蓄は、一体いくらくらいの金利がついていますか? 年0.02%といったものではないですか? これでは100万円預けたとしても、1年で200円の利息しかもらえない。正確にはここから20.315%の税金が差っ引かれるので160円だ。コンビニのおにぎり1個分です。

 5月初旬に1年ものの金銭信託商品が発売されて人気となった。その予想配当率が年0.48%と高かったからだ。金銭信託とは預かったお金を信託銀行などが管理・運用する商品のこと。うーん、わかりにくいね。

 今回の場合で説明すると、日本を代表する手堅い会社に1年間、銀行を通してお金を貸すというもの。予想配当率は利率のようなもの。だから預けた100万円は1年で3800円になる見込み。おにぎり1個よりは相当いいよね。

 もちろん、手堅い会社と言えど、万が一、潰れた場合、貸したお金は戻ってこない。銀行の定期預金と違って預金保険の対象ではなく、国などの保証もない。

 しかも、4月から金利が少し上がった。定期預金でも信用組合などでは、いい金利のものもある。信用組合などの円の定期預金は、1人1000万円までの元本と利息が預金保険制度で守られているので安心して預けられる。

 シケた話だなあと思う方には、株式投資で配当利回りに着目する方法を考えてもらいたい。配当利回りとは、株式を買った時の投資資金に対して、何%くらいの配当がもらえるかというもの。まあ、これも銀行の利率に似ているよね。

 株式投資だから株価は下がることもあるし、会社が潰れてしまえば元本はパー。配当金も会社の経営が悪けりゃ減らされる可能性もある。リスクは色々とあるわけだ。

 それならば、株価が比較的安い時に、手堅く潰れそうにない安定した会社の株式の中から、配当利回りのいいものに〝少しだけ〟投資してみる。これが私のやり方だ。人生をかけた投資なんかしない。自分のお金のほんの一部でやってみるだけ。これも一つの株式投資のやり方なのだ。

 例えば日本全国にある郵便局のゆうちょ銀行(7182)の株価は、4月末の段階で1株1085円。100株単位での売買なので10万8500円で100株買える。この株価の時の配当利回りは4.58%。約11万円の投資で、1年で約4969円の配当金が手に入るというわけだ。

 株式の配当金は株を買う時にNISA(現在は1年で120万円まで)で買えば、この配当金には税金もかからない。よし、それなら1000株、108万5000円でやってみよう。配当金も10倍だ! と思う人もいるだろう。

 しかし、慌てないでもらいたい。株価は下がることもあるし、上がることもある。まずは余裕資金で100株や200株だけ買ってみて、下がったら買い増す方法を取ってもらいたい。なぜなら、株価が下がっても1株に対する配当金は変わらない。つまり、株価が安い時に買えば、少ない投資で同じ配当金が払われるため、それだけ配当利回りが増えることになる。

 そして株価がどんどん上がっていく時には、慌てて買い増しをしない。株価が上がる時は下がった時と逆で、その株価で新たに買い増す時の配当利回りは下がることになるからだ。

 それより、買った時よりも株価が十分に上がったら、株式を売ればいい。株式の売買で儲かることになる。いくら儲けてもNISAの枠で買っていれば、原則として儲かったお金に税金はかからない。

 株式投資のことをもっと詳しく知りたい人は、下の紹介欄にある本を読んでもらいたい。儲けておいしいものでも食べましょう。

佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活躍中。著書「素人はボロ儲けを狙うのはおやめなさい 安心・安全・確実な投資の教科書」(扶桑社)ほか多数。

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