今月9日、ひきこもりの当事者や家族の支援を目的としたマニュアルを厚生労働省が策定する方針を固めたが、その背景にあるのが3月に内閣府が発表した22年度「こども・若者の意識と生活に関する調査」の結果。15〜64歳のひきこもりが推計146万人に及ぶことが明らかになったからだ。
これは京都市の人口(144.6万人。※23年5月現在)に匹敵。同調査によると、各年代に占める割合は15〜39歳が2.05%、40〜64歳は2.02%と50人に1人がひきこもりであることが判明。しかも、男性のほうが多いイメージがあったが40〜64歳の中高年では女性が52.3%と半数を超えていたのだ。
人口の男女比は女性のほうが多いとはいえ、前回調査(18年)の23.4%から倍以上に急増。その理由はいったい何なのか?
「このデータにはコロナ禍で仕事を失った契約社員やパートなど非正規雇用で働いていた女性が多く含まれている可能性が高いです。調査結果を見ると、中高年女性でひきこもり期間1年〜3年未満の方は全体の28.2%。調査時期(22年11月)ともちょうど合致します」(ひきこもり支援NPO法人代表)
ただし、一時的な失業状態のつもりが長期のひきこもりになってしまうケースは決して珍しくないと指摘する。
「世代的に親の介護問題が重なってしまう方も多いですし、うつ病などの発症で社会復帰どころではない方もいると思われます。しかも、内閣府のこの調査で定義する広義のひきこもりは『現在の状態となって6ヶ月以上かつ病気等を理由としない者』で、先のような例は今回の統計にはカウントされていません。つまり、実数は146万人という推計以上になるということを意味します」(同)
我々が思っている以上にひきこもり者数は多いようだ。